死んだ人はそばにいてくれる

不思議な体験をしました。
私の小学校からの友人は中学の頃は陸上部でした。
家庭も母子家庭で決して余裕がある感じではなかったのですが
友人は、陸上部に入りお母さんが誕生日にスパイクを買ってくれたと喜んでいました。

私はバスケットボール部でした。リレーの大会があり学年から４名
タイムのよい順に選手が選人されたのです。友人は選考外でした。
私を含む学年でタイムのよい４名が大会出場に決まりました。

私はバスケットボール部でスパイクは持っていなかったのですが
選考もれの友人が　新品のスパイクを「これ、使って」と貸して
くれたのです。まだ自分も履いていないスパイクを貸してくれたのです。
クラスでも目立つ存在ではありませんでしたが優しく思いやりのある人でした。

そのおかげで、リレーの大会は準優勝という結果が残せました。
友人は出ていなかったのに本当に喜んでくれました。
本当なら悔しかったのではないかと思います。
あれから１０年が経過したある日、産婦人科の待合室で友人と久しぶりに会いました。

懐かしさのあまり待っている間に色々な話で盛り上がり楽しいひと時になりました。

　先に私が診察室に入りました。
結果はたいした事もなく内服薬の処方をして頂く事で終わりました。

友人がその後、診察室へ。　他の大きな病院への紹介状をもって出てきたのです。
その後、友人は紹介された病院を受診。ガンだと宣告を受けたのです。

悲しそうに結果を連絡してくれました。
「もう、子供が生めないと思う」。いつも　明るい友人は本当に寂しそうに不安

いっぱい一杯な様子で　なんて答えればよいかと悩み。頭が真っ白になりました。

私は「大丈夫よ。子供は私が生むから、育ててほしい。」って。
友人は「うん。有難う」ってポツリと言いました。

その後　友人は入院。手術もしましたが、１年後帰らぬ人になってしまいました。
そんなにガンが進行していたとは、知らなかったので　ショックを受け友人との
思い出を日々　振り返り涙する時間が過ぎました。

その半年後　私は妊娠をしましたが3か月で　流産をしました。　
病院で処置をしてもらい自宅に戻りました。
その夜の夢に友人が赤ちゃんを抱いて出てきたのです。
「ありがとう」って。白いドレスを着た友人は子供を抱いていていたのです。女の子でした。
そしてベランダから消えたのでした。