祖母のオルゴール

私の部屋には、とても古いオルゴールがありました。祖母から貰ったもので、綺麗な模様の箱を開けると素敵なメロディが鳴る、小さなオルゴールでした。小さな頃の私はそのオルゴールが大好きで、訪ねるたびに鳴らすものですから譲ってくれたそうです。祖母が嫁入りするときに、若くで亡くなった祖母のお母様（私から見れば曽祖母でしょうか）から頂いた物らしく、大切な形見だったそうで
私も定期的に手入れし、大切にしていました。

ある晩、祖母が亡くなりました。
翌朝には祖父から連絡があり、通夜を行う事になったため、私が部屋で着替えをしていた時のことです。
突然、あのオルゴールが鳴り始めました。
いつものメロディでしたが、私の気持ちのせいか、いつもよりも静かで切なく感じられました。祖母がお別れを言ってくれたのかもしれない。私は涙が止まりませんでした。
きっと、このオルゴールは祖母と繋がっているのだろう。そう思いました。

通夜や告別式が終わり、祖母を見送った後のことです。未だに祖母のことを思い出すと涙が止まらず、その日私は部屋で泣いていました。そうしていると、またあのオルゴールが鳴り始めました。昨日まで普通に鳴っていたのに、今日のメロディは途切れ途切れで、今にも消えてしまいそうに感じられました。
祖母が慰めてくれているのだろうか。
私は温かい気持ちに包まれ、オルゴールを見つめていました。
すると突然、バキンという音が鳴り、急にメロディが止まったのです。
私は心配になってすぐにオルゴールを確認しました。中を覗くと、いつもは綺麗に輝いているドラムが捩じ切れていました。
とても人や自然の力でこうはならない。そう思ってしまう壊れ方でした。
一体祖母はどうなってしまったのでしょう。

私は怖くなり、近くのゴミ捨て場にオルゴールを捨ててしまいました。

その日の晩、夢を見ました。
暗闇で祖母が泣き喚いています。
「どうして！どうして！」
とずっと叫んでいるようです。
何か声をかけようとすると、祖母は何かに引きずられ、闇の中に消えていきました。

オルゴールを捨ててしまったせいで、祖母に何か酷いことが起きてしまったのではないか。今でも私は後悔しています。