大学生の頃の話です。サークルの先輩6人と遠くへ遊びに行きました。
夜10時ごろ,早く帰るために近道を通ることになりました。
その近道は,険しく細い山道でした。
もちろん初めて通る道で,ナビに従うしかありません。
細く,暗い道は,私たちの会話のトーンを自然と落としていました。
前に進んでいくと,立ち入り禁止のロープが張られていました。
私は「これ以上進めないから、早く引き返そう」と先輩に言いました。
先輩たちも不安になったのか、口々に引き返すことに賛成していました。
しかし,細い道だったため,Uターンする場所はありません。
Uターンできる場所を探していると,先輩の一人が前を指さします。
「何か前にいる?」
みんなも前を見ます。
目を凝らすと、かすかに横に揺れる影が見えます。
「早く帰ろう」私はもう一度言いました。
すると,その影は私たちの車に向かって少しずつ少しずつ近づいてくるのです。
恐怖で体を縮ませ,友達の体にしがみつきました。
友達からは反応がありません。
そこである異変に気付きます。
その友達の顔を見ると,こわばった顔で青ざめていたのです。
金縛りにあっている友達を横に,私は恐怖でどうしていいか分かりません。
そこでなぜか、後部座席の窓が開きます。
もちろん誰も操作していませんし,窓を閉じることもできません。
車内はパニックになり,荒い呼吸と叫び声だけが暗闇にありました。
少しずつ近づいてくる影は次第に形を表します。
徐々に人の体が何体も動いていることが認識できてきました。
それは,下半身だけ,上半身だけで,何体もいました。
このままではまずいと運転手はなんとかエンジンを付け,バックでその場からはなれます。
バックの最中,外を見ることはできませんでした。
でも,確かに枝ではない「ボキ、ボキ、」という音が聞こえます。
なんとか近くのコンビニまで避難できましたが,車のボディには,無数の手形がついていました。

























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