雑貨店のお年寄りの不思議な問いかけ
投稿者:サンダーV (2)
通勤で通る道沿いにある雑貨店の事です。
最寄り駅まで歩く15分ほどの道中にある日用品を扱っている昔ながらの小さな店構え。
昔はどこにでもあったような店ですが正直客がいるのを見たことがなくいつ閉店してもおかしくないような外見です。
店の前を通るとき店番のお年寄りがレジ横の椅子に腰かけて外をぼんやり眺めており、ふと目が合った時の事です。
そのお年寄りはこちらを見てにっこりと笑い、声にならないようなつぶやきをしたように見えました。
こちらは歩いて通り過ぎているし距離も数メートルあるので何か独り言を言っているのだろうと思いました。
朝の出勤時は店のシャッターは締まっており何時に開店しているのかはわかりません。
しかし夕方5時半ごろに通るときはいつも店番をして外を眺めている様子でした。
私は帰宅時に店の前を通る時、なんとなく気になって店番のお年寄りの方を見るようになりお年寄りもこちらを見て笑顔で何かつぶやくことが普通になりました。
ある日の事、いつものように店番をしているお年寄りをちらっと見た時に何時もの笑顔ではなく曇った表情で何かを話しかける様子でした。
気になったのですがそのまま通り過ぎ駅まで歩き続けました。
何か言いたかったのか?こちらに注意しようとしていたのか?
翌日も帰りに店の前を通るとお年寄りはやはり曇った表情でこちらに向かって何かつぶやきました。
「えっ」と思い立ち止まるとお年寄りはかすかに「○○○はどうした?」と何か質問しているようでした。
さらにフッとため息をすると椅子から立ち上がり店の奥に歩いて入ってしまいました。
そのまま駅へ向かい何を聞かれたのかとぼんやり考えていましたがしばらくするとそのことを忘れました。
その夜、数年前に離婚した妻が病院のような部屋で寝ている息子を心配そうに見ている夢を見ました。
翌日は土曜日で休日であり猛烈に気になったので離婚した妻に電話しました。数年ぶりでした。
番号が変わっていないか心配でしたが妻の声で応答があり息子の声が聞きたくなり電話したと伝えました。
妻は驚いて自分も電話しようか悩んでいたと言い、息子は原因不明の高熱で昨日から入院していると言いました。
すぐに病院の場所を聞き面会に行きました。
受付で妻と待ち合わせして息子の様子を見に行きました。
久しぶりに会えてうれしかったのですが息子の顔は赤く息苦しそうでした。息子に話しかけ自分が来たことを伝えようとしました。
妻曰く意識は戻らず苦しそうに呼吸するばかりで心配だ、でも来てくれてうれしいと。
自分は数年の空白を気にしつつも息子に優しく話しかけました。
その時息子がうっすらと目を開けました。口をかすかに動かし何か言おうとしています。
何を言おうとしたのかはわかりませんが意識が戻ったので妻は驚いて看護師を呼びに行き医者が来て息子の様子を診始めました。
その後、息子は回復に向かい高熱の原因は分からないまま数日後に元気になり退院。
いつものように仕事終わりに駅まで歩く途中、店番のお年寄りが息子の危機を知らせてくれたのではと思い、お礼に何か買おうかなどと考えていました。
しかし店のシャッターは締まっており閉店しているようでした。
生きている人だったのでしょうか・・・?