赤いリボン
投稿者:idy (1)
「じゃあ掘るね…」
私がその辺で積んできた雑草のささやかな花束を置いて、友達は土をそっと掘り進めた。リボンは思いの外長くて、軽く掘ったくらいではだめだった。
「宝探しみたい」
ワクワクした友達の声に、私は道端で誰か人が通らないかドキドキしながら頷いた。
「出てきた!」
リボンがようやく動いた先に、何か白いものがついていた。
「なにこれ…」
私達はてっきり、タイムカプセルみたいなものが出ると思っていた。赤いリボンは、奇妙にねじ曲がった白い棒のようなものに結ばれていた。
「なに…」
そして、穴のところには、他にも白いものが見えたような気がした。
「やだ…」
友達は焦ったように土を戻し始めた。早く、と言われてメダカの入っていることにした箱も一緒にいれて、急いで土を被せた。友達は赤いリボンを見えないように穴の中に入れて、最後に足で踏み固めた。花束は投げるように垣根の根本に放置して、二人で急いで公園に行って蛇口で手を何度も洗った。
あれは骨ではないのか。
お互いに思っていた気がするが、とにかく何かを話すのも嫌な感じがした。言葉少なにその日は帰った。
その友達は半年後に、学年の上がる頃に転校してしまった。なんとなくお互いに開いた隙間を埋めないままに、どこに行ったのかもわからない。
しかし、私はいまでも少し怖いと思ってしまう。
なぜなら、あの日のあとあの道を通ると、また赤いリボンが出ていることに気がついてしまったからだ。
それと、その家の隣に住んでいるというおじいさんは、もう10年以上前に亡くなっている、ということを別な友達から聞いたのだ。
だから私は、今でも道を歩くときには、あまり下を見ないようにしている。
恐い