モニターを見る父
投稿者:ヒバリ (1)
私は幼い頃から父親が大好きな子供でした。それはもちろん嫌いなところだってありましたが、年頃になっても比較的仲良くしていたのではないでしょうか。
父親はアニメが好きで、家族の中でそういった話が出来るのは私のみ。
よくアニメの話で盛り上がることもありました。
しかしそんな父が事故でなくなったのは私が21歳の時。
あまりにも突然で、信じられなくて、毎日泣いていましたしお葬式のふとしたタイミングで大号泣をしてしたりとしばらくふらふらの状態でした。
そんなある日夢を見ました。真っ暗な空間に私はいて、そこには光るモニターを見る父がいました。
父は私に気が付くと「○○ちゃん、辛くない? ここで一緒に見る?」と、そのモニターを私にも見るよう勧めました。
そのモニターはいつも私たちがいる世界、つまり「この世」を映しているようでした。
その時の私はそのことに特に疑問も持たず、ですが自然と「ううん、いいや。私もうちょい頑張ってみるよ」と答えていました。
父は「そっか~」とさらりと受け流し、ここで夢は終了。
起きて考えてみると、あの空間は「あの世」で、父は私たちを見守る存在になっていたのかな。モニターで見るというのがまた現代チックで面白いですが。
そして、あまりにも悲しくてボロボロの私に「ここで一緒に見る?」という言葉。そう、そこで「うん」と私が答えていたら、今こうして生きていないかもしれません。
でもこれが怖いと思わないのは、なんともフランクな父の問いかけ。「まぁとりあえず提案するけど」くらいのゆるい言い方だったので、恐ろしさ的な感情はありません。
父はまだモニターを見ているのかな、もう飽きちゃったかな。
これが私が体験した不思議でちょっと怖い体験です。
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