謎の火事場の焼け跡

私の地元に旧民家があり、そこに一家総出で５人が住んでいました。
私は同じ小学校に通っていたその一家の一人息子と友達だったので時々その家に遊びに行っていました。

その時の家の間取りは覚えているのですが、全く不思議な点はなかったと記憶しています。居間があって畳の部屋があって食事場所があってお風呂があってトイレがある、一般的な民家でした。

しかし、冬のとあるときその家が火事にあってしまい、一部が焼けてしまいました。するとまぁ当然なんですがしばらくその家にお邪魔するわけにはいかないんですよね。

というわけで遊びに行くことはできないんですが当然友達なので家の様子がまぁ気にはなるんですよね。
そこで誘われてはいないし勝手にあがるわけにはいかないので遠目に家を見ることになるわけです。

その時に家に外から焼け跡が見えるわけなんですけど、明らかに焼けてる場所の下にあんまり焼けていない場所があるんですよね。

そこでわかったんですよ、その焼け跡の床下には大きな荷物が置いてあって、床までは焼けなかったんだというわけです。

さて、そんな記憶も薄れていたころに家の改築が終わりましてようやく家に誘われたわけなんです。きれいに修理されていて、なんかボロかった場所もきれいに整理されていました。

さてそのときにその友人の家でかくれんぼをすることになりました。

その時に床下に隠れることを私は選んだんですよね。

さて、そこで床下に潜りこんで気づいたことがあります。なんかあきらかに床が変な感じなんですよね。

焼け跡が変なわけではないんです。少し土の感じがおかしい。
そうです。土が全て入れ替わっていました。

後から考えれば火事があった後なので土を入れ替えるのは自然だとは思うのですが、その時の私は結構不思議に思っていました。どうして土を入れ替えたのかと。

まぁでも「どうして土を入れ替えたのですか？」なんて聞くわけにもいきません。流石にそこはわきまえていました。

じゃあどうしたかというと庭先の土堀りです。
土を掘れば前の土が出てくるんじゃないかと思ったんですね。

家族に怒られるのは目に見えていたので、家族が出かけている間に我々子供たちによって庭の土堀り決行です。

さて、庭の土堀りなんですが、そこで変な感じになりました。

そうです。焼け残ったものが少し出てきたんですね。

さてそうするとやっぱり土をかぶせたんだなぁ、となってそこで一件落着、また穴を埋め戻し、知らん顔をすることになりました。

さて。ちょっと経ってから考えてみると、この話はおかしいということに気づいたんです。
だって、家事で庭は焼けてません。実は居間のあたりの出火だったんですから。
とすると、庭でなぜか物を燃やして、中に埋めたのか、ということになるのですが、これもおかしい。火事の後の土を入れ替えた後に物を埋めるはずがないからです。

つまり、なんらかの理由により庭に物を埋めてしまう必要があったんです。
それは何か？

そう。軒下にあった謎の荷物です。あれを庭にどうにかして埋めてしまう必要があった、としか私には考えられません。

あの民家にあった火事でも焼け残るほどの荷物をなぜ庭に埋める必要があったのか。中には何が入っていたのか。
いまだにの中での恐怖、謎として心の中に残っています。