肝試しの道すがら
投稿者:ぱけくん (3)
短編
2022/05/20
17:26
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私が大学生のころ、夏休みに地元の廃病院へ肝試しに行くことになりました。
メンバーの中で運転免許を持っていたのはA君と私だけでした。話し合いの末、運転はA君がすることになり、私は助手席で道案内をすることになりました。
その日はあいにくの天気でしたが「夜の雨は雰囲気があるね。」と全員が浮足立っていました。
廃病院に向かうには山道から向かうルートとトンネルから向かうルートがあります。通ったことがない山道を行くよりはトンネルを抜けていった方が安全だろうと私たちはトンネルに向かいました。雨は徐々に強くなり、フロントガラスには大粒の雨粒が絶えず音を立ててはじけていました。視界の悪さが続く中、車はトンネルを進んでいきます。すると突然、向かい側から強いハイビームを当てられました。その瞬間A君はハンドルを左にきろうとしましたが、私は助手席から乗り出し、そのA君の手を止めました。私の慌てように気づいたA君はすぐに正面を向き、私たちは無事にトンネルを抜けました。
しかしすぐさま私たちは違和感を覚えました。なぜトンネルの中でも雨が降っていたのか?なぜ音もなく突如対向車が現れたのか?答えのない気味悪さを感じ、私たちは廃病院には向かわず山道ルートから帰りました。
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