祖父と私の罰当たりな考え
投稿者:チップスタ (5)
短編
2022/04/23
14:44
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私が中学生の頃に亡くなった祖父の話です
祖父は病気で何度も入退院を繰り返し、もう病院でできることは無いということで自宅療養をしていました。
私たちは祖父の家から1時間ほどのところに住んでいたので、時々様子を見に行くことはありながらも、日々の介護は祖母が全て行っていました。
ご飯も上手く呑み込めず、起き上がることも出来ない祖父。
その介護で疲れ果てた祖母。
そんなふたりを見ていて私は仏壇に手を合わせながら「もう、空に帰った方がおじいちゃん本人もおばあちゃんも楽になれるんじゃないか」そんな不謹慎なことを考えてしまいました。
するとその夜、祖父の容態が急変し、亡くなってしまいました。
私はあんなことを考えてしまったことを後悔しました。葬儀中も心にそれが重くのしかかり、祖父に謝っていました。
亡くなってから1週間経ち、初七日の法要に向かいました。
まだ私は罰当たりな考えを悔やんでいました。
祖父の家に着き、部屋に行って手を合わせておいでと言われ、祖父の部屋をあけました。
すると、祖父が元気に立って庭を眺めていたのです。
私に気づいた祖父が振り返り、「気にしなくていいんだよ」というように微笑んで、すぅと消えていきました。
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介護って辛いんですよね。
難しい問題ですよね。怖い話と言うか切ないお話でした。ありがとうございました。