止まらない内線電話
投稿者:蟇 (4)
小学校の先生は激務です。遅くまで残業することも珍しくありません。
その日の夜、職員室には3人の先生が残っていました。そのうちの一人が、私の担任の先生でした。
この話は私が小学生の頃に、その担任から聞いた話です。真面目でカタブツな先生だったので、作り話ではなく本当の話ではないか、と今でも思っています。
その日、先生は、教頭と教育主任の先生と一緒に残業をしていました。校舎には、その3人の先生しか残っていません。書類を片付け、次の日の授業の準備をし、帰る頃には
20:00を回っていました。
私の通う小学校では、最後に校舎を出る先生が見回りをしてから退出する決まりになっていたそうです。職員室に二人の先生を残し、担任は校舎の見回りに向かいました。
無音、真っ暗な廊下、無機質に明るい職員室の蛍光灯、冷たい緑色をした非常口の灯、はるか遠くに見える消火栓の赤い光、、、
想像するに、夜の校舎を一人で歩くのは、さぞ不気味なことでしょう。しかし、真面目で冷静な担任の先生は特に何とも思わず、しっかりと見回りをこなしたそうです。
異常がないことを確認した担任の先生は、他の二人の先生が待つ職員室に戻りました。
「お疲れさまでした、さて、帰りましょうかねぇ。」
教頭が静かな声でそう言った直後、
「プルルルルル」
甲高く、大きな音で職員室の内線電話がなりました。
「プルルル」
どこの教室から、誰が。三人しか、いないのに。内線電話がかかるはずなんて、ないのに。
二度目の見回りをすることはなく、足早に三人の先生は校舎を後にしたそうです。
校舎を出るまで内線電話が鳴り止むことはありませんでした。
とりあえず出てみるべきだったのでは?w