真夏の日に軍服姿の男
投稿者:ケイワイ (3)
これは私が大学生の頃の話です。
大学2年生の夏、大学のクラスメイト4人と、関東近郊の温泉地へ旅行に出かけました。その日は格安サイトで見つけた旅館に泊まりました。
旅館は古く、部屋の鍵もうまくしまらないほど劣化していました。当時の私たちは若かったので、部屋の鍵が閉まらなくても、そこまで気にしていませんでした。
旅館の外で食事を済ませ、部屋に戻り、お風呂に入り終え、怖い話をすることになりました。
1人ずつ話していきましたが、みんな眠くなってしまい、その日は眠りにつきました。
翌日、旅館を出発し、電車の乗り継ぎのためある大きな駅で下車しました。時間があったため駅周辺を散策することにしました。
その日は平日ということもあり、人通りは少なく、観光客よりもスーツを着たサラリーマンなど働く人が多くいました。
ふと路地裏に入り、隠れ家的なお店がないか探していたところ、薄暗い空気に変わり、一瞬ヒヤっと感じました。
真夏で日が照るなか、長袖長ズボンの軍服のような服を着た人がトボトボと目の前を歩いていました。
その人の周りは黒い影のようなモヤモヤしたものがまとわりついていて、その人の着ている服もボロボロでところどころ焼けているのか焦げたような色をしていました。
私は恐る恐る顔を見ると、顔は火傷をしたようにただれ、目は赤く、よく見ると手も焦げているようでした。
真夏なのに長袖長ズボンで軍服‥
おかしいと感じ、友人に「ちょっと、あの人‥おかしくない?」と言いましたが、なぜか友人は聞こていないようでした。
その人の周りにも、人がいましたが誰も気づいていないようでした。
軍服の人は私にしか見えてなかったのか、あの人はなんだったのか、今でも分かりません。
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