もう1人いる・・・?
投稿者:オハナ (3)
これは今から18年程前のお話です。
当時、私は学生で、親戚付き合いのある神社で、巫女さんのアルバイトをしていました。
神社でのお仕事は「神様にお仕えする」という事なので、少し特殊といえば特殊です。
神聖な場に属している為か、神職さんは皆さんそれなりに「霊感」というものを持っていました。
当初私は、全く霊感は無かったのですが、母がとても強い人で、よく心霊体験話を聞いていたので、幽霊の存在は信じていました。
しかし、巫女さんのお仕事をしているうちに、少しずつ私も霊感が意図せず強くなっていきました。
ある日、お祓いの準備をする為、拝殿に向かおうと廊下を歩いていた時の事でした。
その日の巫女さんは私1人しか出勤していなかったのですが、廊下の曲がり角を、もう1人別の巫女さんがスーッと通って行ったのです。
「あれ…?」
と不思議に思いました。
「もしかしたら、急遽他の巫女さんが出勤する事になったのかもしれないな。」
そう考え、私はその方にご挨拶をすべく、後を追いました。
その巫女さんが入って行ったのは、拝殿裏にある言わば倉庫のような部屋。
「おはようございます」と声をかけながら部屋に入り、私は絶句しました。
誰も居ないのです。
確かにこの部屋に入ったはずなのに、居るのは私1人だけ。
しかもすぐ追いかけたのに…。
その部屋は神社の一番奥。
行き止まりとなっている為、私が入った入り口の他、出られるところはありません。
そう、その巫女さんは忽然と消えてしまったのです。
しかし、不思議と怖いとは感じませんでした。
私が見たのは後ろ姿だけでしたが、私たちが普段着ているものとは違う、豪華な美しい羽衣を纏い、綺麗な髪飾りを付け、とても神々しくキラキラしていたのです。
お祓いの準備が終わり、神職さんに、今日は私以外の巫女さんが出勤しているのか確認してみたところ、やはりその日は私1人だけでした。
日頃から神職さんの間でも、もう1人知らない巫女さんが居るというのは話に上がっていました。
ご近所からも、真夜中や早朝に巫女さんがお仕事しているのを見たよという証言が多数ありました。
もちろん、その時間は神社内には誰もいないはずなのですが…
ですが、誰からも「怖い」という言葉は出ていません。
「綺麗だった」という人が圧倒的に多いのです。
私が見たのは一体誰だったのでしょう。
もしかしたら、この神様に出会えたのかもしれません。
こういう神様のお話し好きです。