おかしな現象が起きるので私は激怒した
投稿者:たくあん (2)
大学院生を謳歌していたある日、学部生の頃の友人が私の家に泊まりに来た。
その友人、仮にFちゃんとここでは呼ぼう。彼女は現在は大学から離れた所に住んでいたが、たまたまその時はこちらに用事があったようだった。そして久々に遊ぼうという話になり、うちに泊まりに来たのだ。
夜となり、お風呂の時間となった。先にFちゃんが入り、次いで私が入浴した。
私が入浴している間、Fちゃんに不都合があってはいけないと、私は彼女が泊まりに来た時はいつもこう声をかけていた。
「何か困ったことがあったら、いつでも声をかけていいからね」
彼女はいつも大人しく頷くが、遠慮がちの彼女のこと、今まで一度も入浴中に声をかけられたことはなかった。
その日も声をかけられないまま、私は身体についた泡をシャワーで流していた。すると
「〇〇ちゃん……」
Fちゃんの声で自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。
少し驚いたが、親しい友人が困っているとなれば放っておけない。
「なぁに?」
「……」
返事が返ってこない。
おかしいと思い、すりガラスになっている浴室のドアを見る。
「どうしたの?」
扉の向こうの人影にそう言いながら取っ手に手をかけた。
そこで私は気付いてしまった。
その人影がFちゃんよりもずっとずっと小さいことに。
お風呂から出るとFちゃんは何も困った様子はなく、私のパソコンを使って動画を見ていた。
「おかえり」と呑気に笑う彼女に私は先ほどのことが言い出せなかった。
その日からしばらくの間、私の家では物音が鳴ったり、物が勝手に動いていたりということが続き、最終的に私自身も体調を壊していった。
何かがおかしい。
そう思っていたある日、ドライヤーが壊れてしまった。冷風は出るものの、温風にすると風すら出ないのだ。
そうしたのかと風向口を覗いた瞬間、ドライヤーは火を噴いた。
慌てて手を離したあと、ドライヤーは正常に動き始めた。
ついにドライヤーが壊れるという経済的な損害まで出てしまったことに激怒した私は、虚空に向かって怒鳴り散らかした。
その後、自宅で不可解なことは一切起きなくなった。
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