とある村の行事
投稿者:やうくい (37)
高校時代、山奥の村から通ってきている友人がいた。某ホラーゲームにハマって以来、村に強い関心を持っていた私は、村に何か変わった風習は無いのかと尋ねてみた。
友人は乗り気では無いようだったが、ひとつだけ、とある行事を詳しく話してくれた。
これは、その時聞いた行事の内容である。
村では月に一度の新月の晩、村人が集会所に集まってとある行事を行っている。
まず、昼過ぎになると各家から持ち寄った材料で案山子を作る。
材料はよく使い込まれた物なら何でも良い。
集めた色々なものを竹に挟んだり巻きつけたりして、2メートルほどの案山子を作るそうだ。
夕暮れになり空が紫色に染まる頃、案山子を頭、胴、腕2本と脚2本に切り分ける。
これを日が完全に落ちる前に、5人の子供が別れて村中に隠さないといけない。
隠し終えた子供は集会所に戻り、顔に墨を塗られて家に帰される。
子供は案山子の体を持った瞬間から夜明けまでは、一言も声を出してはいけないそうだ。
墨も塗ったままで過ごさなくてはならない。
完全に日が落ちた後、大人達は村中に隠された案山子の体を探して回る。
村には灯りがなく、新月の夜は真っ暗になってしまうそうだ。
探している間、光を絶やしてはならず、ある言葉を繰り返し繰り返し唱えなければならない。
「おろろ、おろろ、ほら出てこい。」
夜明けまでに案山子の体を揃えて、燃やしてしまえば行事は完了だそうだ。
後は集会所で酒を飲んだりするらしい。
私はこれを聞いて気になった。
仮に子供がとても難しい所に隠して、夜明けまでに大人が見つけられなかった場合、どうなってしまうのだろうか。
友人曰く、子供には事前に見つかりやすい場所に置いておくように強く言い聞かせているため、そんな事は決して起きないそうだ。
なぜ案山子を解体した上に燃やすのか。
「おろろ」とはなんなのか。
なぜ子供が隠し、墨を塗られるのか。
それらについては、聞いても全く教えてもらえなかった。
友人は何を知っていたのだろうか。
行事にはどういう意味があるのか。
不可解な点が多いが、今となっては分からない。
頭、胴、手足四本なら、6ピースだけど
ケンタッキー食いたくなった