俺は日付が変わるころに近くの公園をランニングしている。
大きな池がある公園で、昼間は散歩を楽しむ人も多いが夜になるとほとんど人はいない。
静かな公園に自分の走る足音だけが響いているのがなんとも心地よい。
だが、ある日から俺と同じ時間帯に走っている人を見かけるようになった。
おそらくは俺と同じように1人だけのランニングを楽しんでいるのだろう。
いつも池を挟んだ反対側を同じ方向に走っているため、お互いの存在が邪魔になることはなかった。
最初に発見した日から、その人物を毎日見かけるようになった。
池をぐるりと囲む形で通っている道は、整備されていて街灯もある。
だが、街灯の間隔が広いこともあってその人物の姿は影になり、性別や服装まではよくわからない。
だから、絶対に同じ人だとは言い切れないが、こんな時間に走る人はそうそういないだろう。
毎日のように姿を見かけていると、どうしても興味を持ってしまう。
声をかけたいわけではないが、どんな人物が走っているのか単純に気になったんだ。
そこで俺は、その人物が見えたらさりげなく走る速度を落とし、追いついてもらおうとした。
自分が速度を上げて追いつくことも考えたが、相手が女性だった場合、怖がらせてしまう可能性がある。
タッタッタッタッ……
タタッタタッタタッ…
少しすると自分の足音に別の足音が重なり始めた。
追い抜きやすいように池側に避け、少しだけワクワクしながら走り続ける。
タタッタタッタタッ…
だが、しばらく走っても一向に追い抜かれる気配がない。
相手の速度的にすぐに追いつき、追い越せるはずなのだが。
タタッタタッタタッ…
数メートル後ろを足音がぴったりとついてくる。
気味の悪さを感じ始めたころ、ちょうど道が少し広くなる区間に差し掛かった。
そこには自販機とベンチが設置されており、街灯もある。
俺はそこで飲み物を買うていで歩きに変え、自販機に近づきつつ後ろを見た。
誰もいなかった。
右側に池が広がり、左側は生垣になっている暗い一本道があるだけだった。
結局、その日は姿を見ることができなかった。
聞こえていた足音は気のせいで、もしかしたら途中で引き返したのかもしれない。
心のどこかで納得できていないながらも気にしないことにした。


























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