私が小学五年生の時のお話です。
子供から大人になりかけの年齢にさしかかり、女子同士で好きな人できた、告白したいとか、どうにかして仲良くなりたいとか、そんな感情が、まるっきり子供のころのようなものではなくなっていくころ、私にも好きな人がいました。
運動神経も良く、成績も良い、明るくて気さくな子でした。
彼は生徒会長をしていました。選挙得票率は、圧倒的なものでした。
人気者の彼を好きな子はきっとたくさんいたのだと思います。
私は彼と違うクラスでしたが、彼の友達が私のよく知っていた子でした。
自然に挨拶したり、ほんの少したわいないおしゃべりをしたりする程度の距離でしたが、もう少し仲良くなりたいなあとは思っていましたが、特に何もできずにいました。
その日は朝から雨が降っていて、私はお気に入りの傘をさして登校しました。
淡いピンク色を基調にした傘で桜の花びらが舞う模様、持ち手が黒の細身の傘でした。
下校時刻にはスッカリ雨があがったので、忘れてはいけないからと、靴を履き替える前に取りに行きました。
生徒全員が大きな傘立てにさしているので、探すのも一苦労です。たぶん自分が刺した場所に必ずあるわけではないので、持ち手の黒を目印に探しますが、見つかりません。
困ったなと思って目線を下げると、目の前に淡いピンク色が見えました。
やっと見つかったと思い、傘本体を握り、引き上げました。
傘の持ち手が90度曲がっていました。
お気に入りを壊されたことが、悲しくないわけではありませんが、私はその傘から、
本当にへし折りたいのは、お前の首だという、実行者の声が聞こえた気がしました。
まだまだ子供でしたが、嫉妬というものは恐ろしいと、胸に刻まれた出来事でした。
























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。