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不思議体験

Yafiiさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

訪問営業にて
短編 2022/12/25 12:43 1,139view

8年ほど前、長野県上田市にある会社の営業職をしておりました。

仕事内容は個人宅を訪問する営業で、午前中訪問。午後は社内で資料作成等を行い、夕方5時に終礼をしてから、再度、午前中に訪問したエリアの再訪を8時頃まで行い、上司に1日の成果報告をして終了。そのまま家に直帰するのが仕事の流れでした。

その日は上田市の隣の市である東御市のあるエリアを訪問しており、3日間で隈なく全ての家を訪問してやろうと意気込んで営業をしておりました。
2日目の再訪での出来事でした。午前中留守だった家、世帯主に投げアポをした家等をまわっていましたが、7時40分頃訪問した先が、当社の訪問営業を良く思っていないお宅だったようで、出てきた奥様にこっぴどく怒られました。空も暗くなりはじめていた上、怒られたことで気力も萎えてしまっていたので、あと1件だけ訪問して今日は仕事を切り上げようと考えました。

こっぴどく怒られたお宅の南隣の家の玄関先まで来たのですが、その家は電気がついていなかったので、留守だろうな、じゃ〜もうこれで本日の仕事は終われる、なのど気持ちも楽になりつつ、しかし一応、引き扉の玄関ドアをノックしつつ、どなたか居ませんか〜?と声を掛けました。すると、玄関扉がガラガラと開きました。目の前に薄暗い男の人が立っていました。薄暗いというか、グレーの色の人で、坊主頭の様な、10代後半の様な、20代後半の様な……髪型も年齢も分からない感じの男性でした。

でも世帯主でなくその息子さんかなと思い、お父様はご在宅かと質問し、首を振ったので明日は居るかと質問しました。明日ならいるとの返答だったので、それでは明日また同じ時間に来ますと伝え、玄関扉から離れました。
目の前の男の人は静かな物腰だったのですが、なぜか心の中で、少しでも玄関に入ると思いっきり引き込まれる様な気がしたので、とにかく玄関から離れたくて仕方がありませんでした。
それから、その男の人と話していた時、少し後ろの方で、正座した姿勢のまま、手だけで移動する人影が右から左に通り過ぎたのです。80代くらいの、長い白髪のがりがりに痩せたお婆さんでした。その時は 足の悪いお婆さんも住んでいるんだな〜程度で考えたのですが、後々考えると、ガリガリで80代のお婆さんが手だけで移動するのはあり得ないのではと気付きました。

翌日、恐怖心はありましたが、約束していたこともあり、訪問しました。しかし留守で、誰も出ませんでした。

それから1週間くらい経った午前中、たまたま、その家の前を通った時、高身長の40前半位の男性と、80前半ですがふっくらとしたお婆さんの2人が庭の手入れをしていました。その2人に話しかけた所、彼らはその家の持ち主で、普段は誰も住んでいないということが分かりました。先日の話をしたのですが、そんな人は知らないと言われました。だいぶ前に1人暮らしのお爺さんが住んでいたが、2年ほど前に亡くなり、それ以降は誰にも貸していないとの事でした。

まだ信じられなかった私は、日を改め、その隣のこっぴどく怒った奥さんにも確認したのですが、やはり、誰も住んでいないとの事でした。私が見た男の人とお婆さんは誰だったのか。未だに分からずじまいです。

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