あるはずの階段がない!
投稿者:リュー夢露 (1)
中学生から高校生のころ、私たちの間で近所の廃病院に集まるのが流行っていた。
その廃病院は、田舎の森の中にあり、周りには何もない、不良たちの格好のたまり場だった。
夏休みということもあり、その日は遠方からも肝試しに来ている人がいた。
男女3人づつで遊びに行くと、中にも2グループくらいの人がいた。
自然と仲良くなり、いつも来ているので慣れている私たちは中を案内して回った。
3階建ての大きな病院で、夜逃げしたといわれていた院内には、カルテなども散乱していて気味が悪かった。
そのとき来ていた人たちは、少し周ってから帰ってしまったので、私たちだけが残った。
いつものように屋上へあがり、みんなで話しをしていると、下に懐中電灯の光が見えた。
上から声をかけると、2人組のカップルだった。
照らすものが何もないから中に入らず帰ると話しているので、私ともう1人とが彼らに灯りを貸すため、下へ降りた。
懐中電灯を渡した後、お邪魔はせずに2人きりにしてあげよう、ということでさっさと退散し、屋上へ戻ろうとしたが、階段が見当たらない。
いくら夜で真っ暗とはいえ、何度も来たことがあるのに見つからないわけがない。しかし、3階のフロアを端から端まで探したが、結局見つからなかった。それで、ほかの友達が降りてくるのを下で待つことにした。
そういえば、さっき来たカップルも見当たらない。
しばらくすると残りの4人が降りてきて、改めてみんなで行ってみたら、いつもどおり階段はあった。
だが、結局カップルには会えないままだった。
見つからない階段に、いなくなったカップル。不思議なことが重なる夜だった。
懐中電灯の灯が見えたのでしょう?
貸した懐中電灯はどうなった?