足音
投稿者:みゅしゃ (3)
短編
2022/12/12
08:40
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我が家はマンションの4階なのですが、防音性が高く、上の階に住む住人さんの足音や、物音はほとんど聞いたことがありませんでした。
ある時、家族で夕飯を囲み、子どもが風呂に入ろうとした時です。「コトコト、コトコト。」とまるで小さな子が天井の上で走り回っているかのような足音が聞こえてきたのです。「え、今の音何?」と、夫も子供たちも不思議そうでした。
その日から、同じ時間帯に、いつもその音が聞こえてくるようになったのです。不思議と家族全員恐怖を感じず、むしろ、「また来たね」と、得体の知れない足音の主を歓迎するようになっていたのでした。
そんなある朝、起きてきた小学生の長男が、不思議な夢を見たと言います。「昨日、夢で3歳ぐらいのおかっぱ頭の、ピンクの着物を着た女の子が、家のパソコンの部屋にいるのを見た。」というのです。すると、なんと、幼稚園児の長女も起きてきて、「私も夢で同じ女の子を見た」と言うのです。
もしかしたら、座敷童かもしれないね。と、私たち家族はその夜も、「トコトコ、トコトコ」という足音を聞いて、寝る前に、パソコンの部屋にお菓子とジュースを供えました。翌朝、コップは空になっていました。喉が乾いていたのかな。お菓子は、遠慮したのかな。
その日の晩から、足音は聞こえなくなりました。座敷童さん。来てくれてありがとう。
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座敷童ですね。