笑顔の父親

私が幼稚園の頃に体験した不思議な話なのですが、

ある日、近くの友達と遊び終わって1人自転車で家に帰る途中、

父親が自転車に乗っている姿を見かけたので

「あ。お父さんだ。」と思い、父親と一緒に帰ろうと自転車を一生懸命に走らせましたが、なかなか追いつかなく

やっとの思いで父親の自転車の斜め後ろ辺りまで追いついた所で父親の顔を見たのですが、特に言葉を発する事もなくただ、

ニコッと微笑むだけでした。

笑顔を見て私もやっと追いついた安堵感もあり笑顔で返して父親と一緒並んで自転車を漕いでいました。

しばらく一緒に並んで自転車に乗っていて

もうすぐ家に着くなと思っていたら家の前を通り過ぎて行ったのです。

「あれ、家に帰らないで何処に行くんだろう」と思って、

そのまま父親の後をついて行ったのですが、やはり不思議に思い父親の顔を覗いてみるとやはり何も言わずニコッと笑うだけでした。

そのまましばらくして少し離されてしまい、そのまま角を曲がって行ったので私も父親の後を追って角を曲がると父親の姿を見失ってしまったのです。

「どこに行ったんだろう」と不思議に思い辺りを探したのですが父親はいなく、幸いにも家からもそんなに離れていなかったので取り敢えず家に帰る事にしました。

「ただいま」と家に帰ったら、

「おかえり」と母親と家の奥にテレビを観ている父親の姿があり

私はびっくりして父親に「お父さん、どこに行ってたの」と聞くと、父親は「いや、ずっとテレビを観ていた」と言われたので

「自転車乗ってなかった？」と聞くと「だからテレビを観てた」と軽く怒られました。　

その後、何かあったという訳ではありませんがあの時の父親は誰だったんだろうと今でも覚えている不思議な体験でした。