灰色の赤ちゃん

これは私の体験したどこか怖いようでホッとするようなお話です。

絵を描くことが趣味だった私はその日も机に向かって絵を描き続けていました。

深夜もまわり薄明るくなってきた頃だと思います。ペンを落としてしまい、拾おうとしたときです。大きな一人の赤ちゃんが机の下にギュウギュウに詰まっているのを見てしまいました。

その赤ちゃんは灰色の肌をしていて、大きい黒いつやつやした瞳でこちらを見ていました。ちょっと鼻の高い輪郭の丸めな子。

私は数秒ほど目が離せなくなり見つめ合うような形になりました。

私が遅れて「わあっ！！！」と驚くと赤ちゃんはいなくなっていました。びっくりはしたものの怖さは全然感じませんでした。むしろ愛おしいような気さえしました。しばらくしても、あのつやつやな瞳の丸い顔が忘れられずにいました。

その数年後。現在私は妊娠中で産婦人科に通っています。最近の産婦人科では従来のエコー写真に加え、4Dエコーというものがあります。こちらは骨や内臓の凹凸だけではなく皮膚の凹凸も反映されて、お腹の子がどんなお顔かも大体わかります。

ワクワクしながら4Dの検査をしてもらうと、なんとそこにはあの灰色の赤ちゃんによく似た鼻の高めな丸めな輪郭の子がいました。

あれは我が子が生まれる前に私に会いに来てくれていたのかなと思っています。