稲荷神社の帰り道

私が学生だった頃のお話です。

夏休み中に短期間のバイトをして、お金に余裕が出来た事もあり、
１泊２日の旅行に行くことにしました。

お寺や神社へお参りすることが好きな私は、ホテルに荷物を置き
山に囲まれた稲荷神社に向かいました。

私以外の観光客と思われる方々は、本殿へお参りをした後
帰って行っていましたが、私は山の頂上を目指し歩き始める事にしました。

当初は、本殿のお参りをした後、戻る考えのはずでした。

今思い出しても、なぜ戻らなかったのか不思議です。

登り続けると、前から戻ってくる方々とすれ違い
「こんにちわ」や「まだ先は長いけど頑張ってね」等
お声がけを頂きながら、歩き続け登頂にいたりました。

登ったという事は、帰るために下る必要があります。

地図を確認すると、稲荷神社の周りには気になるスポットが他にもあったため

「ここに寄り道をして、食事をしてホテルに戻ろう」

と、計画して山を下り始めました。

下り始めて、すぐ不審に思うことがありました。

＜まったく人とすれ違わない＞

「この時間帯になると、登る人はもう居ないのかな。
だとしても、後ろからも人が来ないのは不安だなぁ。」

不安を払拭するため、少し速足で歩きます。
そして、しばらく歩き続けるとおかしなことに気が付きました。

＜こんな道、行きは歩いてない＞

地図には分かれ道もあるが、最終的にはたどり着くのは本殿の道であったため
どこかで行きとは違うところを曲がったのかもしれない。