祖母のおまじない「癇の虫」
投稿者:fukki (1)
私はおばあちゃん子で小さいころから同居していたこともあり、学校から帰るとよくその祖母と過ごしていました。
祖母からは戦時中の話や神様の話をよく聞かされていました。
そしてたまに「手、貸しぃ」と言っては癇の虫を出すおまじないをしてくれました。
それは、手のひらに筆で何やら漢字で虫と書いたのち、ごちゃごちゃと色んな文字を上から重ねていくもので、何と書いてあるのか何度聞いても教えてくれず、最初の虫の字のみ目視で読み取れるような感じでした。
その後も手順が決まっており、親指から順に小指まで指を折り拳を作ります。
祖母がなにやら口パクで呪文を唱え水で墨を洗い流してしばらくすると爪の間からふにゃふにゃとゆっくり白いスジのようなものが出てきて完了。
という赤ちゃんによくやるおまじないらしいのですが、このおまじないを大人になってから一度やってもらった事があります。
それは私が結婚して家をでて子供を産んで子育てに奮闘していたときのことです。
夫の浮気が発覚したのです。
私は耐え切れず離婚を切り出しました。
はじめこそしぶっていた夫ですが、離婚を避けられないと分かると弁護士をつけてあることないこと私に難癖つけてきたのです。
流石に精神的に参ってしまい私は子供を連れて実家を頼ることにしました。
ただ、当時は浮気されたことも離婚しそうなことも中々両親に切り出せず、夫が出張だと噓をついていました。
久しぶりに実家に戻って、久しぶりーばーちゃんいるー?と明るく声をかけたつもりだったのですが、祖母は険しい表情をしていました。
祖母は会うや否や、すぐに「手、出しぃ」と言われあの癇の虫を出す儀式をはじめたのです。
私は正直あの儀式を信じてはいませんでした。
爪の間から出てくる糸のようなものも何かの繊維だろうと思っていたのです。
ですが久しぶりに会ったこともあり、懐かしさから素直に儀式を済ませました。
いつものようにしばらくすると白い半透明の糸のようなものが出てきました。
まっすぐそれは伸びていき、いつもは5㎜から1㎝ほどで切れてはまた違う指から同じようなものが出てくるのですが、その時は違いました。
1㎝では切れず5㎝ほどまで伸び、祖母と長いなぁ等と話していたらまだまだ伸びていくのです。
10㎝を超えただろうかというところで動きが少しに鈍くなりました。
ここまでかと祖母と視線を交わしていたら祖母がかけていた老眼鏡をぐいっと上にずり上げて身を乗り出したのです。
何かと思い私も自身の指に注目しました。すると、一番長く伸びた親指の爪の間からまたそれがぐんぐん伸び始め、なんと途中から黒く変色したのです。
祖母もここまでのものは初めてみるそうで終始驚いていたのですが、しばらく沈黙してから私をじっとみて「あんま恨みなや」と言いました。
恐らくあの変色したものは私の内に眠るどす黒い感情だったのだと思います。
おかげでスッキリできたのか気持ちも落ち着き、無事綺麗に離婚する事が出来ました。
今は亡き祖母ですが祖母との話はたくさんあり、感謝しております。
今でもたまに守ってくれてるのかなと。
白い糸っていうのが興味深い。不思議な能力をお持ちのお祖母様だったんですね。
旦那とはどうなっちゃたの?
癇の虫聞いたことあります
おまじない程度のものと思ってましたが本当にこんなことあるんですね
面白かったです
白い糸の正体って何なのでしょうね、不思議です
これは興味深いですね。アニサキス的なやつなんですかね?
都市伝説的なものだと思ってたけど本当にあるんだ