いなかった事にされた友人
投稿者:zaku (1)
戦没者を祀るために作られたその場所は、山の上とあって確かに見晴らしもよく景観も綺麗でした。
ですが、戦没者の墓ということもあり、祀られた骨壺や遺品などは生々しく戦争で命を落とした人々の面影を感じさせていました。
心霊スポットとしての噂も広まり、あることないことを囁く人が多いのも事実です。
ですが、地元に通う中学生はその周りを部活などでランニングなどでも使用しており、美しい木々の揺れや明るい陽射しから陰鬱さはあまり感じていませんでした。
その日もいつものように、運動部では数人でその場所をランニングしていました。
ちょうど墓の真下に来て一息ついていたのですが、いつまでたっても残りの一人が帰ってきません。
部長含め、走るのが遅いやつでもあるまいし、山道で舗装されていない箇所もあったため事故やケガで動けなくなっているかもしれないと心配になり、顧問へと連絡しました。
その間も私たちはどこかでうずくなっているのではないかと、来た道を探していましたが見つかりませんでした。
暫くすると、顧問がやってきて「お前たちもう今日は帰っていいぞ」といい私たちは帰宅することになりました。
何かあったのかと、部員たちはソワソワしていたのですが、次の日からその子が学校に来ることはありませんでした。
担任の先生も何も言いません。勿論、部活にも来ません。
まるで最初からその子はいなかったかのような態度でした。いったいあの子は何処へ行ってしまったのか…今でも不思議でなりません。
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