線香の香りのする橋

これは、私の両親が体験した本当にあったお話です。

私の実家は田舎の山奥にあります。
歩いて行ける場所に山と山を繋ぐ大きな橋があるのですが、そこは昔から自殺のスポットで有名でした。
自殺者が多いので近年では橋にフェンスが取り付けられ対策がしてあります。

そのおかげか、昼間は散歩で歩く人も増え、最近ではあまり自殺の噂は聞かなくなっていました。

父と母がダイエットを始め、夜散歩をするようになりました。

ある日、ちょっと距離を伸ばしてその橋を渡って公園まで行って家まで戻ってこようと思ったみたいです。

橋を渡り始めてちょうど真ん中あたりでしょうか？
どこからか線香の香りがしたそうです。母が怖くなり「ねえ、お線香の香りしない？」と父に聞くと、父もしたそうです。
しかも父が気分が悪いと言い出したので、急いで2人は家に帰ってきました。

私の職場は、橋を渡った向こう側。
両親から不吉な話を聞いていたので、気になって仕事帰りの夕方に橋の様子を見に行きました。
そこには真ん中あたりに無数の花がお供えしてありました。線香は置いてありません。

そのことを帰宅してから両親に話すと昨日はそんなものは置いてなかったと言います。

あの線香の香りは自殺者が最後に残したメッセージなのでしょうか？未だに真相はわかりません。