父と一緒に見る望遠鏡
投稿者:マックス (3)
私の父の趣味は天体観測でした。
自宅2階にはベランダがあり、そこに父曰く結構高い天体望遠鏡を設置して晴れの夜には星を観察するのを楽しんでいました。
望遠鏡や小型の双眼鏡等自体も好きで、価格の安いものから少し高めの物まで集める事もまた父の趣味としていました。
天体望遠鏡の価値が結構高いものだったために、父同伴時にのみ一緒に星の観察を許されていましたが、それ以外は安価な双眼鏡で遠く遠く見える星を父の隣でみたりしていたのを覚えています。
この話はその双眼鏡にまつわる話です。
父には実は天体望遠鏡で星を見るの以外にもうひとつ趣味がありました。
当時子供の私はそれが何が楽しいかよくわかりませんでしたが、今思えば父の趣味は異常だったことがわかります。
それは何かというと2階ベランダから公設公園が見えるのですが、夜になるとカップルがイチャつく公園で有名で、それを双眼鏡で覗くのが父のもう一つの趣味だったのです。
ある時いつものように父が望遠鏡で星を、私は双眼鏡で回りの景色を見ていました。
双眼鏡は暗視双眼鏡でしたので、暗い夜でも結構回りの人の動きや建物の形が見えたりします。
すこし時間が経って父が望遠鏡と双眼鏡を交代しようと言い出しました。
私は星を見るほうが楽しかったので父に双眼鏡を渡し、私は望遠鏡で空の星を見始めました。
父は双眼鏡を持つとすぐに公園の方向に向け、今日も公園のベンチに座ってイチャイチャするカップルの覗きをしようとしていました。
私が星を楽しんでいると父が突然「うわ!なんだあいつ!」と大声を出しました。
私はびっくりして父の方をみると何かにとても驚いた様子で双眼鏡から目を離していました。
私は何があったのかと思い、放心する父から双眼鏡を借り驚いた公園の方向へ双眼鏡を向けました。
するとその先には公園のベンチの前に立つ一人の男が。
その目元には双眼鏡。
その男もまた私達の事を双眼鏡で見ていました。
私は恐怖のあまり「うわ!!!」と大声を上げ、すぐに部屋の中に逃げ込みました。父もその後から部屋の中へと入りました。
それから星の観察の回数は極端に減りました。
あの男は私達を一体なぜ観察していたのかは、未だに不明です。
そのあと猛スピードで家に駆け込んで来るんじゃないかな?ヾ(^^ヘ)