君は誰。高架下からのメッセージ
投稿者:KENDELI (1)
短編
2021/08/28
11:55
1,028view
8月4日。今夜もジョギングをする。
イヤホンから流れる音楽を聴きながら、いつものコースを走る。
田んぼ道を行くと高架下に差し掛かる。周囲には薄暗い街灯のみ。
夏の夜、高架下は蒸せ返るような暑さと、薄気味悪い暗闇に包まれる。
『ザッ–––ザザッ–––』
ふとした瞬間、音楽にノイズが混ざった。
iPhoneもイヤホンも新調したばかりだぞ?ツイてないな。
『ザッ–––キャアァアァアァッ』
聞き間違いであって欲しかった。
少女の甲高い悲鳴のような音がノイズに混ざって耳に届いた。
気のせいだと思い込み、走るペースを上げ、高架下を抜けた。
ふと目線を横に向けると、田んぼの真ん中に軽自動車が見えた。
あんなところに車って入れるのか?
左側のライトも点灯していないし、不気味だ。
数日後。
陽の差す時間に高架下を通った。
1枚の看板が設置されていた。
『8月6日×時頃 ひき逃げ事件発生。小学生の女子児童と軽自動車が接触。目撃情報求む』
女子児童は即死だった。
運転手は気が動転し、高架下のコンクリートに車を衝突させ、左側のライトを破損させたそうだ。現場に飛び散ったガラスが残っていた。
あの日の夜、まだ事件は起きていなかった。
だが、ここで遭遇した出来事は、この悲劇を知らせるかのようだった。
ここで起こることを知っていた『何か』がいたのか?
そして、それを伝えようとしていた…?
前のページ
1/1
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 5票
ガラスのヘッドライトって珍しくね?