あかちゃん、つぶれちゃうよ
投稿者:ねぎ (3)
これは友人エミ(仮名)の体験談です。
エミは4歳の娘とご主人の3人暮らし。
仕事が忙しい旦那さんは、朝早くから夜遅くまでなかなか家にいられない生活をしていました。そのためエミはほぼワンオペ育児状態。朝、娘を保育園に預けて仕事へ向かい、終業後に急いで迎えに行って夕食、入浴、寝かしつけと息つく間もなく走り回る生活をしていました。何事にも一生懸命な彼女は、家事、育児、仕事、休日の自身の趣味までなんでも手を抜くことをしません。
そんな忙しい日常で体はクタクタ。マッサージにでも通いたいほどガチガチに体は凝り固まっていました。しかし、ゆっくりマッサージに行く暇もありません。そこでエミは、娘に背中に乗ってもらうことで、なんとか背中や腰のコリをほぐしていました。4歳の女の子の体重と小さな足は、なかなか良いマッサージとなりエミは癒されていました。
そんなある日、いつものように娘を背中に乗せようとすると、嫌がって乗りません。
「ママ、背中と腰が痛いからお願い」
何度お願いしてもイヤイヤと言うばかりで乗ってくれません。理由を聞くと、娘は小さな声で答えました。
「だって、のったらあかちゃんつぶれちゃうよ」
エミはお腹の下に赤ちゃんのおもちゃでもあるのかと思い、見てみましたが何もありません。
「何もないよ?大丈夫だよ」
そういって娘をみると、続く娘の言葉にゾッとしました。
「ちがうよ。ママのおなかのなかにいるあかちゃんが、のるとくるしいっていうの。つぶれちゃうって。だからのらないの」
「赤ちゃんなんて…いないよ?」
それから数日後、エミは念のため行った産婦人科で妊娠初期を告げられました。
あのとき言ってた赤ちゃん、本当にいたんだ…。
不思議な体験をしたなと思いながら、家に帰って家族に妊娠を告げると、旦那さんも娘も大喜び。そしておもむろに娘は言いました。
「あかちゃん、おんなのこだよ」
あれから数年。エミは旦那さんと娘2人と仲良く暮らしています。
怖くはなく、不思議であたたかいお話しでした。
いいお姉さんですね。