ある産婦人科の悲しい歴史

私が2人目の子供を出産した時入院していた病院での出来事です。

その病院はほとんどが個室でスイートルームから個室A、B、2人部屋とランクがありました。
1人目の時は同じ病院でしたが、少し無理をしてスイートルームにしたため、今回は普通の個室にしました。
出産前に入院したのですが、部屋に案内されたときは1番奥の個室を案内されました。
部屋に入った時ちょっと嫌な感じがしたのですが、可愛いキャラクターを使った部屋でもあり、気にせず入院生活が始まりました。

初日の夜、寝ていたら金縛りが起こりました。
金縛りはそれまでもよく遭っていたので慣れていましたが、やはり体は重いしなかなか苦しいのでどうしようと思っていました。

するとそのうち体が楽になったので目を開けたら、なんと！天井がだんだん近づいています。「ええ？？」
もう天井にくっつきそう！という所で下を見ると自分が寝ていました。

そのまま天井を抜けてしまう・・という所で我に返った時には普通にベッドで寝ていました。そうです・・初めて幽体離脱を経験したのです。
そのまま天井を突き破っていたらどうなっていたのか・・。しばらく呆然しました。

そしてその翌日無事に二男を出産しました。
初日からあんな事があった病院・・。早く退院したいと思いながらも、食事中や授乳の時に仲良くなったお母さんたちと楽しく過ごしていました。

数日たった時の夜のことです。

私の個室の近くには自動販売機があって、照明やモーター音など音が気になる部屋でした。
夜中に搾乳していたら、廊下から誰かが歩くスリッパのような音が聞こえました。誰か飲み物でも買いに来たのか、もしくは看護師さんかな・・。
しかし、その足音はちょっと変わっていて、廊下をあっちこっちにウロウロしている感じです。
自動販売機で飲み物を買っている気配もなければ看護師さんはそんなにウロウロはしないはず。
「夜中に誰なんだろう・・？？変だな・・」と思っていた時、その足音が私の部屋の前で止まりました。しかし部屋の前に立ったら人影がガラス越しに見えるはずなのですが写っていません。そして、その足音はまた廊下を渡って去っていきました。
「何だったんだろうか・・」私は少し怖くなって部屋の灯りを付けました。

退院してから友人にこの話をしたところ、その産婦人科では出産時に亡くなってしまった母親の幽霊が出る噂があると聞かされました。
無事に出産した私の様子を見に来ていたのでしょうか。
新しい命が生まれる産婦人科にも悲しい部分があるのかもしれません。