住所不定無職の俺だが、彼女というものはいて、俺の最後の拠り所だ。
そんな彼女との馴れ初めを書いていこうと思う。
ある日、俺はひとり自宅でこっくりさんをしていた。FXのポジションをどうすべきか聞くために。
同僚の小柄な巨乳女もFXを始めたとかで、ちょっといいところを見せてやろうと思ったんだ。
しかし、現れたこっくりさんからはまともな返事が返ってこなかったし、「帰れ」と言っても「やだ」とか「一生つきまとってやる」なんて言ってきた。めんどくさいことに、文字盤上で。
俺だってそんなわがままに付き合ってられないから、「じゃあ、一生帰るな!」と怒鳴って10円玉から手を離した。
紙もビリビリに破って捨てた。もちろん、鳥居の部分は重点的に破った。
そのあとも部屋の小物が動いたり、小馬鹿にするような声が聞こえたりしたが、無視していた。
それから1時間もしないうちに静かになって、「おい、こっくり、どこいった?」と聞いても答えはなかった。
『帰らない』みたいなことを言ってた割に、簡単にいなくなってしまった。
頭にきた俺は近くの神社に走った。
神社では、艶やかな長い黒髪の綺麗な巫女さんが散り始めた桜の花びらを掃除していた。
俺が息を整えて話しかけると、その人は丁寧に対応してくれて、正式な参拝方法を教えてくれた。
そして俺は、こっくりさんで使った10円玉を賽銭箱に投げ入れ、神様にお願いした。
「その10円玉で呼び出したこっくりを帰れないようにしてください」ってな。
部屋に帰ってしばらくすると、泣き声が聞こえてきた。
微かに「帰りたい」なんて声も混じっていた。
FXをしているときに泣き声が聞こえたり、小物が動いたりするのは気が散るから、帰らせる方法を聞くためにもう一度こっくりさんをした。
そのときに現れたこっくりさんは、『神に聞け』と端的に示して帰っていった。
しかたなく、俺はまた神社に行った。
そこにはまたあの美人の巫女さんがいて、笑顔で会釈してくれた。先日の願いが叶ったことを報告すると、「今日はお礼のために来てくださったのですね」と自分のことのように喜んでくれた。
そのあと、こっくりさんで使った10円玉を賽銭箱に投げ入れ、「先日はありがとうございました」と神様にお礼を言った。
それからの俺は、借金までして人生を賭けたFXで大敗し、職場でもポルターガイストが原因としか思えないミスを連発した。
巨乳同僚女がかなり献身的にフォローしてくれていたが、結局はクビになった。
そんな俺にも、彼女はずっと寄り添っていてくれたんだ。
俺は家という固定観念を捨て去り、自由の身になることにした。
もちろん、彼女もついてきてくれてる。
とある観光地で、満開の桜並木を見て俺は言った。
「綺麗だな」
彼女は言った。
「あの頃に帰りたいよ……」
























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