いないはずの姉
投稿者:Giboushi (1)
これは私がまだ小さいときの話です。
家で母とテレビを観ていて、途中で母はトイレに行きました。
私はその間にこっそりとお菓子を食べようと冷蔵庫に向かい
中に入っているチョコレートに手を伸ばしましたが、まだ幼い私には手がギリギリ届かず
諦めようとした時、誰かの手がスッと冷蔵庫の中に入ってきました。
母にバレたと思い上を見上げると、知らない女の人が立っていて私にチョコレートを渡してきました。
誰だろうと思いながらそのまま突っ立ていると母がトイレから戻ってきて
「え!どうやって取ったの!?」と驚いていました。
私は知らない女の人が取ってくれたと説明したのですが、母はギョッとした顔をして
「そっか、お姉ちゃんが取ってくれたんだね」と言い、そのままテレビを観にいってしまいました。
私は1人っ子なので姉はいません、ですがそこまで深く考えずにチョコレートを頬張りながら母の横に座りました。
数日後、友達と家の前でボール遊びをしていた時に、ボールが車庫の中に入ってしまい
私が取りに行ったのですが薄暗くて中々見つからず、手探り状態で探していると
「ボールあったよ」と後ろから声がしました。
振り返るとあの女の人で、にっこりと笑いながらボールともう1つ、可愛いキャラクターのキーホルダーを渡してくれました。
「お姉ちゃんありがとう!」とお礼を言い、友達のところに戻りました。
夜のなって母にこのことを話したのですが
「お姉ちゃんのことは忘れなさい、あなたが大人になったらちゃんと説明する」
と難しい顔をしながら言われ、同時にお姉ちゃんも私の前に現れなくなりました。
事の真相は、私が社会人になった時にすべて知りました。
私には「お姉ちゃんになる予定だった子」がいたのです。
母は悲しそうな顔をしながら流産した時のことを話してくれました。
「もしかしたら、妹になるはずだったあなたと話がしたかったのかもね」
と言いましたが、少し疑問が残っています。
その「お姉ちゃん」、明らかに身長が180㎝はあったのです。
母が流産したのが私が生まれる3年前の事で、たとえ身長が大きくても頭1つ分ぐらいだと思います。
だとしたらあの「お姉ちゃん」は一体・・・
まだあのキーホルダーは実家に残っています。
捨てるに捨てられないのです。
捨てたらまた「お姉ちゃん」が現れる気がして。
とても怖いです
八尺さまかな?