人形は祖母で娘
投稿者:あらんどろん (1)
短編
2023/02/18
00:16
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娘はにやりと不気味に笑いました。その笑顔は老婆を彷彿とさせるものでした。
そしてこう呟きました。
「私のだ」
僕は驚いて尻餅をついてしまいました。すると、その音を聞きつけたカナコがリビングから出てきます。
「お帰り。どうしたの、そんなとこに座っちゃって」
気付くと、娘はいつもの娘に戻っていました。
僕は後に、カナコに人形について聞いてみました。
どうやらあの人形は、カナコが祖母からもらったもののようでした。カナコの祖母はダンスと人形作りが趣味だったそうです。ダンスは上手くなかったそうですが、人形作りは上手くて、よく可愛らしい人形を作ってもらっていたそうです。
あの人形は祖母の最高傑作だったそうで、貰うときには「これを私だと思って大事にしてね」と言われたのだとか。そしてその人形を貰った翌日に、祖母は急死してしまったそうです。
カナコは祖母のことは苦手でしたが、祖母の作る人形は大好きでした。なぜ祖母が苦手だったか聞くと、雰囲気がなんとなく怖くて、不気味だったからだそうです。
最後にカナコはこう言っていました。
「そういえば、初めてあなたが私の部屋に来たっきり、あの人形がどっかに行っちゃったんだよね。どこに行ったんだろう」
最近娘は、僕を嘲笑ったり、敵意を持って接してきます。反面、カナコにはべったりです。
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一度ご家族でお祓いした方がいいと思います。