おそらくご先祖様
投稿者:mei (1)
私が高校1年の夏の話です。
夏休み前のテストで赤点を取ってしまった私は、1週間のレポート作成に追われていました。
毎日レポート用紙10枚。当時の私は勉強が大嫌いで、文字を書く事すら苦痛でしかたありませんでした。
3日目までは何とか毎日10枚提出できていたのですが、4日目からだんだんと枚数をこなせなくなり、5日目は提出すらしなくなっていました。
6日目の夜、担任の先生から親に連絡があり、レポートが提出できなければ夏休みは毎日登校、それすら出来ない場合は単位をあげられないと言われました。
うちは母子家庭で、金銭的余裕は全くありません。なのに私は私立学校に進学した為、当時の親はかなり苦労していたと思います。泣きながら私に怒鳴る母を見て、私も泣きながら謝りました。
その日の夜は寝ずに3日分のレポートを書いて、翌日提出しに学校に行くと更に担任からのお説教。
自分のせいとはいえ、毎日の慣れないレポート作成、前日の不眠で身体的にも精神的にもかなり疲れ切っていました。
最終日、夜中の1時までレポート作成をしてなんとかノルマをこなした私は、そのままベッドに横になりました。
頭も体も疲れていて、うとうとし始めた時、急に身体が動かなくなりました。さっきまで半分寝ていた頭もなぜかすっきりと目覚めていて、「これは金縛りだ」とすぐに理解しました。
目を開けたらだめ!直感的にそう思っていたのですが、意志に反してだんだんと目が開き、目だけを左に向けるとベッドの脇に首から上だけの知らないおじいさんとその上に知らないおばあさんがいたのです。
その顔は2人とも怒っているように見えました。
こんな体験は初めてだったので、どうしたらいいのか分からず咄嗟に目を瞑りました。
どれくらいの時間そうしていたのかは分かりませんが、ふと身体が動くようになり横を見るとおじいさんもおばあさんも消えていました。
恐怖のあまり走って母の部屋に行き母に先ほどの話をすると「あなたも見たの?あれはご先祖様だと思うよ。うちに何かあるとたまに様子を見に来てくれるてるみたい」と、まるで普通の様に話をしていました。
母の言動も怖かったし、当時の私は全く信じられませんでしたが、今考えると2人が現れ更に怒った顔だったのは、母を泣かせた私にお説教する為だったのではないかなと思います。
あの顔は20年経った今でも忘れる事はできません。
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