駐車場の暴走車
投稿者:闇の雇われ店長 (1)
高校生の頃から現在に至るまで様々な仕事を経験してきたのですが
何度か不思議な体験をしています。
今回は警備員時代に経験した話です。
今から20年ほど前、某商業施設で警備の仕事をしていました。
冬のある日、店内を巡回警備していると警備本部から無線が。
どうやら屋外駐車場で車が暴走しているとのことだそうで
慌てて近くにいた後輩を連れて現場へ急行してみると
白の軽自動車がグルグルと円を描くように暴走しており
その異様な光景を目の当たりにして
二人共口をだらしなく開けてポカ~ンな状態。
寒風吹きすさぶ広大な駐車場にアスファルトとタイヤが擦れる
キュルキュルキュルキュルという音だけが鳴り響いていました。
幸い営業開始してまだ間もない時間帯で、尚且平日だったので
駐車場も殆ど埋まっておらず、800台ほど入る敷地で駐車率は10%ほど。
暴走車は他の車に衝突したりすることもなく
壊れたラジコンのように同じ場所で延々と回り続けていました。
その商業施設は山間部を開拓してできた場所にあり、一言でいうとド田舎。
週末ともなると、車高を低くしたりマフラーを極限まで伸ばしたような改造車、
所謂「ヤン車」がよく来店するような、正直あまり上品と言えない客が
頻繁に訪れる地域にある勤務先でした。
なのでそういった粗暴な客とのトラブルは日常茶飯事。
今回もそんな連中が酒でも煽った状態で運転しているんだろうと高を括っていたのですが
近くにいた屋外駐車場担当の同僚に
「ヤンキーか?」と尋ねると
不安を隠しきれない表情で無言で首を横に振って
「誰も乗ってないんよ」とポツリ。
えっ?と思って安全な距離を保ちつつ、運転席を覗き込んでみると確かに無人。
後部座席にも人の姿は確認できない。
サイドブレーキの掛け方が甘いと無人でも動く事があるからきっとそうなんだろうなと考え
取り敢えずナンバーを確認して本部に状況を報告し、
店内アナウンスで所有者を呼び出してもらうことに。
そして動揺している現場の同僚たちを落ち着かせて
暴走している車のいるエリアに来店客を誘導しないよう指示して通常業務に当たらせました。
なんかちょっと怖いね…
不気味な感じ、呪いとかかな?
わかんねーや、でも怖い!
こういうの好き
怖いってより気味が悪い話よね
不気味で不可解で読後感が気持ち悪くていい!
タイヤ音が聞こえてきました…。