患者さんの最期の姿
投稿者:りり (2)
私はある病院で看護師をしています。
入院しているある男性患者さんは危篤状態でナースステーション近くの観察室という部屋にいました。酸素マスクをつけており、意識も朦朧としている状態です。
ある日の夜勤のこと。男性患者さんはいつ亡くなってもおかしくない状態でした。
仕事を一通り終え、自分の休憩時間になりました。
私はもともと仮眠の時間は寝付けないタイプなのですが、なぜかその日は休憩時間になった途端にすーっと眠りにつけたのです。
そしてある夢を見ました。
危篤状態のはずである患者さんが車椅子に乗って奥さんと一緒に病院を退院していく夢でした。
その患者さんは笑顔で私にこう言いました。「おれ、よー頑張ったよな。ほいじゃな!」と。
私も笑顔で「よく頑張りましたね。奥様と仲良く過ごしてくださいね。」と声をかけました。
スマートフォンのアラームで目が覚め、夜勤の仕事に戻ります。
”仮眠でこんな夢を見るなんて珍しいな” こう思ったのを今でも鮮明に覚えています。
夜勤は特になにも起こることなく勤務を終えました。
次の出勤日、あの患者さんのいた部屋が片付いていました。
私が夜勤明けで帰った日勤帯で亡くなったのです。
私はその患者さんの受け持ちだったので、他のスタッフよりも関わる機会が多く様々な看護をしてきました。
だからあの夜勤のとき、最期の挨拶をしに来てくれたのかもしれません。
笑顔で挨拶できてよかった。
そして、これからも後悔しないように看護しよう。
そう思った夏の出来事でした。
お疲れさまです