青い目の男の子
投稿者:深煎 (2)
私が小学生の時の話です。
今のようにインターネットやテレビゲームがそれ程普及していない時代、
子供たちは外で日が暮れるまで遊んでいました。
私は友達二人と自転車を走らせ、「防空壕巡り」という遊びをしていました。
これはその名の通り、市内に未だ残る防空壕跡を見つけ入りに行くという、肝試しのような遊びでした。
とあるガソリンスタンドの裏。崩れかけた防空壕があると聞き、私たちはいつものように自転車で向かいました。
ガソリンスタンド横に自転車を止め、山の斜面を滑り落ちそうになりながら進んで行くと防空壕の入り口のような空洞を見つけました。まるで宝物を見つけたかのようにみんなで喜んだのを覚えています。
子供の体でも通るのがやっとのその空洞の入り口から中を覗くと、確かに奥が広く、大人5人は余裕で座れるような空間がありました。
三人並んで中を覗き込んでいましたが、左側から視線のようなものを感じ目をやると、顔半分が砂に埋もれた人形がこちらを見ていました。金髪に青い目の男の子の西洋人形でした。しかも不思議と汚れていないのです。
隣にいた友達たちに「ねえ、人形があるよ」と声をかけ振り返った時には、先程までそこにあったはずの人形が消えて居なかったのです。
正直怖さはありませんでした。ただあまりにも不思議で、見間違いで片付けられない程リアルな体験でした。
日も暮れ始め、私たちは家路に着きました。
家に帰ってからもモヤモヤとした思いは続き、一体あれは何だったのだろうと頭を整理してみました。そこでひとつの結論を導き出したのです。
その日見に行った防空壕のある崖の上には、外国人墓地があるという噂を思い出しました。「行くと、野犬の霊が爪から入ってきて取り憑かれてしまうから行ってはいけないよ」と大人達から言われていた場所。勿論、私は行った事がなく、都市伝説のようものだと思っていました。
それに加え、霊は楽しそうな場所に寄ってきてしまうという話も思い出しました。
あの青い目の男の子は、楽しそうに防空壕を覗きこむ私たちに寄ってきてしまった、外国人墓地に眠る幼い霊だったのではないでしょうか。
大人になった今でも、あの綺麗な青い目を思い出します。
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