山の中の異空間に迷い込んだ
投稿者:埴輪 (3)
一体ここはどこなんだ?訳が分からない。
小学生の私はいつも遊んでいる山で道に迷ってしまった。
遊び慣れた標高数十メートルの小さな山。この山なら同じような風景の山中でも迷うことなど絶対にない。
だが、その日は違った。私が知っている山には相応しくない高々とした木々、まるで防空壕のように山肌にぽっかりと空いている、どこまで奥が続いているの変わらないほどの空間。
ダメだ。いつまでもこうしていても埒が明かない。
私はぐるぐると鳥居の周りを歩いていた足を止め、その代わりにまるで閉じ込められてしまったような暗い山中に足を向ける。
私が山へ入ったのが15時頃。だが、辺りはもう真っ暗だ。
さ迷っている間に随分と時間がたってしまったようだ。
なに、小さい山だ。真っすぐ進めばいずれ道路にぶつかる。
そう信じてひたすらに真っすぐ進んだ。
斜面でも竹林が生い茂っていても転げ落ちそうな下り坂でも。
自分が一体どこを歩いているのかさっぱりわからなかったが、ただひたすらに前に進むことだけを考えていた。
その思いが通じたのか、辺りが明るくなっていることに気が付いた。
夜が明けたのか。朝日に照らされた山中を見渡してみると、私がよく知っている山の風景だった。
暗くなったから道が分からなくなっていたのか?それにしても・・・なんだか腑に落ちない。
が、そのまま帰路についた。家に帰るといつも通り母がご飯の支度をしていた。
てっきり怒られるかと思ったけど、そんなことはなく「もうすぐカレーできるから」といつも通りの会話。
なぜ?時計を見る。夕方の17時過ぎ。
今は夏なので、この時間なら暗くなることはまずない。
日にちは?再び時計を確認する。7月28日。山に入った日だ。
どういうことだ?あの山中で見た景色や暗くなったのは?あの鳥居は?
神隠しにでもあったのか。小学生の頃の不思議な出来事でした。
やはり鳥居は異世界へのポータルですね。
近寄らないことにします。