田舎の村に伝わる謎のお祭り「おらいさま」
投稿者:イナカモン (1)
私の出身はある県の田舎の村なのですが、その村には「おらいさま」というお祭りがありました。
子どもたちの間では通称「おとなまつり」と呼ばれていたのですが、今思うと少し変わった、というより不気味なお祭りだったのかなと思います。
このお祭りに参加できるのは大人、それも主に男性のみです。18歳になるとこのお祭りに参加できるようになるのですが、私は高校卒業と同時に田舎を離れてしまったので結局一度も参加したことはありません。
ここからは好奇心旺盛だった子どもの私がこっそり覗いたことや、父や祖父から耳にしたことになるのでいくらか推測も入るかもしれません。
まず、お祭りは毎年9月上旬の夜に行われます。お祭りはポスターなどの掲示もなく、村の人たちの口伝いで開催が連絡されていたようです。夜になると興奮するでもなく、静かになんとなく神妙な面持ちで家を出る父と祖父をよく覚えています。
集まった村の男性たちは揃いの衣装を着て、太鼓を鳴らしながら村中を練り歩きます。よくお祭りならみこしを担いだり掛け声をかけて陽気に歩くものですが、このお祭りでは一切声を発しません。しかも、全員顔のないのっぺらぼうのようなお面をつけて歩くのです。たくさんの大人が静かに太鼓の音だけで練り歩くのは子どもながらなんだかゾッとしました。
祭りのクライマックスは村に古くからある壊れかけた神社に向かっていたようです。村にはもっと立派な神社もあるのに何故そこなのだろう?と不思議でした。
大人になった今、当時の同級生に祭りの詳細を聞いても皆「お前も参加すればわかる」の一点張りで教えてくれないですが、参加しようとはなんとなく思えません。
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