この話は10年ほど前、妹がまだ小学生だった頃の話です。
当時の妹はいわゆる「悪ガキ」で、正直なところ可愛げの欠片もない子供でした。
生まれつき目が不自由な叔母を馬鹿にしたり、わざと足を引っ掛けたりと、冗談では済まされないような悪質なイタズラを繰り返していたのです。
そんな妹も、家系的な体質とゲームのしすぎが重なり、視力が低下してコンタクトレンズを付けることになりました。
貧乏な我が家にとって、コンタクトを買い続ける費用はかなりの負担です。両親は妹に「メガネにしないか」と説得していましたが、なぜか妹にだけ甘い両親は、本人が嫌がると強くは言えませんでした。(女の子を切望していた両親にとって、第一子の私はそこまで愛着のない存在だったのかもしれません)
そんな折、急に叔父が「妹のコンタクト代をすべて負担する」と申し出てきたのです。
叔父は優しい人でしたが、身内を馬鹿にするような悪ガキに手を差し伸べるほどのお人好しではありません。何か裏がある――そう直感しましたが、私は妹にそれを伝えることはしませんでした。
叔父の支援が始まってすぐ、妹の視力は急激に落ち始めました。
コンタクトを付けるたびに「焼けるように痛い」とのたうち回っていましたが、それでも「メガネはダサいから嫌だ」という虚栄心だけで、妹はその痛みを両親に隠し通していました。
それから月日が経ち、今ではもう、妹の目は何も見えていません。
先日、私は叔父の家で見てしまいました。
大量にストックされたお酢。そして、その液体に浸された、妹に渡されるはずのコンタクトレンズを。
妹も馬鹿なものです。酢に浸されたレンズを装着し続けることが、どれほどの激痛を伴うか。それを「見た目」へのこだわり一つで耐え抜いたのですから。
私は叔父に感謝しています。
あの日以来、妹はすっかり大人しくなりました。
目が見えなければ、他人を馬鹿にすることも、暴れることもできませんから。























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