花嫁さんよ、なぜ泣くの
投稿者:バイレン (3)
短編
2022/12/11
17:12
1,708view
20年ほど前、骨董屋で買った不思議な帯についてのお話です。
当時の私は、和服に凝っていて、リサイクルやアンティークの着物を購入していたのですが、たまたま行きつけの骨董屋で目に留まったのが、豪華絢爛な刺繍が施された丸帯(花嫁が締める礼装用の帯)でした。
おそらく戦前のものだと思うのですが、リフォームして仕立て直せば、自分一人でも結べるだろうと思い購入しました。
彼の運転する車に積み、家路についたのですが、みるみるうちに吐き気がして、気分が悪くなってしまいました。運転している彼も顔色が真っ青になり「気持ち悪い」とのこと。
何とか吐き気をこらえ、自宅につきましたが、二人ともひどい頭痛に悩まされてしまいました。彼いわく「この帯に何かとりついているんじゃないの?」とのこと。私も、普段なら選ばないような派手なデザインの帯だったので、思い返すとこの帯に呼び止められたようで、背筋がうすら寒くなりました。
そこで見よう見まねでお清めの塩をふり、はさみで帯を切り裂くと、うそのように私たちの吐き気と頭痛が止まったのです。帯の残骸は、近所のお寺に事情を話して処分してもらいました。もしかしたら、望まぬ見合いで泣く泣く嫁いだ花嫁さんの念が宿っていたのかもしれません。
相変わらずアンティークなデザインは好きな私ですが、あの一件があってから、さすがに骨董品には手を出さなくなりました。
前のページ
1/1
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 7票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。