最後の別れ
投稿者:À (2)
私が中学生の時の話です。
母方の祖父が癌でもう長くはないと知り、家族全員で見舞いに行きました。
祖父はベッドに横たわり私達が声掛けしてももう話せず、瞬きで合図するしか出来ないぐらい衰弱してました。
私はただ側にいることしか出来ず、祖父の手を握っているとあー、もう近いなって感じました。
それから3日後、祖父は息を引き取りました。
祖父の家は田舎で、葬儀は自宅でするのですが、その為の準備で葬儀屋さんと母、祖母、父、おばちゃんで夜遅くまで話をしてました。
私も中々寝れず、大人達の声を聞いてると、父がじゃあ行くからと祖父のロウソクの火が消えないように寝ずに見てくると出かけて行きました。
私は何故か急に不安になり、母の元へと行きました。
祖母が祖父の好きだった着物を着せたい、好きな花を入れたいと色々母と相談してると急にパチパチと電気がついたり消えたり。
あまりにも急な事で全員が息をのみ静かに様子を見ました。
外からは雨の音がしてかなりの豪雨になってました。
あ〜、雷でトラブルかもね、、。なんて話してると急に真っ暗になりました。
ほら、灯り探して。と言われ立ち上がろうとした瞬間玄関のチャイムがなりました。
田舎の祖母の家は人が玄関扉の前に来るとセンサーが反応してチャイムがなります。
田舎なので鍵は、夜でもかけない事が殆どで、地元の方々はそのチャイムと同時に皆勝手に玄関を開けておーい、いるかい?なんて声をかけるのですが、ずっとチャイムがなってるばかり。
お父さんが忘れ物でもしたのかと皆で玄関へ行こうとすると、祖母が駄目だ。開けるな。と急に大声で言ってきました。
ゆっくり祖母だけが玄関迄行き、扉越しに私は大丈夫だよ。
心配せずはよ先に行っててくれ。と言った瞬間電気がパッと付きました。
何が起こったのか信じられず祖母に聞くとおじいさんが帰って来たんだよと、、。
虫の知らせという言葉は聞きますが、雨が上がった次の日の玄関には祖父がよく履いていた草履の跡が残ってました
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