身体を押してくれた親友
投稿者:ミミミズク (1)
私は全校生徒50人程度の小さな村にある小学校に通っていました。5年生の夏、いつもどおりSちゃん(仮名)と放課後、外で遊んでいたら雨が降ってきたのでその場で別れました。
翌日、またいつもどおり登校するとSちゃんの姿はありませんでした。全校集会が開かれ、Sちゃんが昨日の夕方、小学校の前で倒れていて病院に入院しているが意識がないとのことでした。
Sちゃんは0歳の頃から心臓の病気を持っていて、意識が戻る確率が低いとのことでした。もし奇跡的に戻ったとしても、車椅子の生活になり、言葉を喋ったり以前のように遊んだりするのは難しいだろうとのこと。
小学生の私には難しいことはよくわからず、千羽鶴を折って早く元気になることを祈ることしかできませんでした。千羽鶴を担任の先生に届けてもらった翌日、Sちゃんは回復傾向にあると聞き、とても嬉しくなりました。早く会いたいな、また一緒に遊びたいなとウキウキしました。
しかし、Sちゃんは翌日還らぬ人となってしまったと伝えられました。時々お互いの家の真ん中地点くらいまで送って行くことがあったのですが、あの日は雨だからと送っていかなかったことをとても後悔し、自分を攻めました。もっと早く気づける人がいたら容態は違っていたんじゃないかと。Sちゃんは勉強も運動もとても得意な子でした。
1ヶ月後、その年の運動会が開かれました。足の遅い私はかけっこに出るのがとても憂鬱でした。練習ではいつもビリ。スタートの音が鳴り、走り出しますが、やはり私はビリです。
それでも一生懸命走ったら、本当に気のせいではなく、力がみなぎって背中を押されたような感覚になりました。いつもは重く進まない足が、とても軽く宙を舞うような感覚でした。
ゴールテープを切って一位でゴールしたのは私でした。他の人が転んだわけでもないのになぜだろう。それはSちゃんのおかげなんじゃないかと直感で思いました。
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