夢流しのおまじない
投稿者:花楽 (1)
母方の祖母には霊感のようなものが少しあります。
霊感というよりは「虫のしらせ」という表現が近いような薄っすらとしたもの。
ある日、親戚や知り合いが夢に出てきて「そういえば久しく会ってないけれど元気かしら」と連絡を取ってみると、丁度その日の明け方に亡くなられていた、というようなことが何度かあったそうです。
孫の私も、長年飼っていた金魚が水面に浮かんでいる夢を見た翌日に金魚が死んだことがありました。
年齢的にまだ周囲の人間が相次いで亡くなるようなこともなく、幸いにも死の予知夢はそれ一度きりです。
ただ、脈絡なく夢で起きた出来事が、数日の内に現実でも似たような場面に出会うといったことは幾度もありました。
どれも些細な出来事で、気のせいと言われればそれまでの、けれども嫌な既視感を伴うような不思議な夢たち。
もう15年以上前、祖母が手術をし入院しました。
術後の経過はそこそこに順調ではありましたが、見舞いに行った母から
「天井やカーテンに何か来ているのが見える」と祖母が怯えていることを聞きました。
慣れない環境や身体の不調からくる不安が、そんな気にさせただけかもしれません。
でも、病院は「視える人」には視える場所なのだと思います。
それから数日後、私は昼寝をしていた時に夢をみました。
それまで見ていた夢から唐突に切り替わり、牛車に乗った人が私の横をゆっくりと通りすぎていきました。
スローモーションような、妙に間延びしたその瞬間の時間の流れだけ、今でも鮮明に覚えています。
すれ違いざまに牛車の物見窓を少しだけ開けた顔の見えないその人は、悪夢を見た時にそれを断ち切るためのおまじないを教えてくれました。
おまじないの名前も教えてもらったような気がするのですが、なにぶん一昔も前のことでそのあたりのことはあやふやです。
祖母のは謂わば幻覚の類であって、夢ではなかったはずですが、当時の私は「これは祖母の為のものだ」と思い込み、目覚めるなり、夢で見た方法を祖母のところで実践してくれるよう母へと伝えました。
結果的に祖母は不審なものを見ることはなくなり、体調も回復して2週間ばかりで無事に退院しました。
「小さな笹舟をつくり、枕の横に一晩置き、次に枕の下に敷いて眠り、悪い夢とともに川へ流す」
どこかで見聞きしたおまじないを、偶々夢で見て思い出したのかとネットで調べてみましたが、似たようなものは見当たらず、あれは何だったのだろうなと時折思い出しては不思議に感じています。
もし、あなたが、怖いものや夢を見て困っているなら、試してみてください。
気休め程度にはなるかもしれません。
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