ヨシ君のお母さんの呪い
投稿者:きーま (8)
小学生の時の同級生にヨシ君という子がいました。
1年生の時は身体が小さく弱虫だったので、よく学校で泣いていました。
しかし、ヨシ君のお母さんはモンスターペアレントで、ヨシ君が泣いた日は、必ず学校やクラスの子の親に怒鳴り込んでいく面倒な親でした。
面倒な親のいる子なので、みんな子供なりに気を使ってヨシ君と付き合っていました。
3年生になった時、ヨシ君のお母さんが自転車事故に合い、亡くなってしまいました。
あまりに突然のことだったので、ヨシ君を不憫に思った学校や地域の人達は、父親と二人暮らしになったヨシ君を助けてあげようと、優しく見守りました。
しかし、母親に甘やかされて育ったヨシ君は、わがままで泣き虫で性格の悪い子供だった為に、男子からいじめられるようになりました。
そんないじめが始まってすぐに、そのいじめていた男子達が次々と自転車事故に合うとい不可解な事件が起こりました。
「ヨシ君のお母さんの呪い」と、はじめは面白半分に言ってましたが、ある日決定的な事件が起こりました。
ヨシ君が忘れ物をしたことをみんなの前で叱咤した担任教師が、学校の帰り道、自転車で老人に衝突し、死亡させる事故を起こしたのです。
これ以降も地域で自転車事故が多発しました。
学校では子供だけでの自転車走行は禁止し、集団登下校もはじめました。
「ヨシ君のお母さんの呪い」は地域中の噂になり、ヨシ君の家の前を通っただけでも呪いにかかるといったデマもあり、大人もヨシ君の家には近づかなくなりました。
登校拒否する子供が多発し、大問題に発展しました。
その後、ヨシ君一家は地域にいられなくなり引越していきました。
ヨシ君がいなくなってからも、子供だけの自転車走行禁止や集団登下校は続きましたが、その後一切、自転車事故はなくなりました。
あれから十数年が経ち、その地域はすっかり変わりました。
道が整備され、歩道や信号も増えました。
「ヨシ君のお母さんの呪い」は本当だったと思います。
しかし、その呪いの目的は、可愛い子供の復讐の為だったのか、それとも、信号や歩道がある安全なまちづくりを推進させる為だったのか、どちらなのかわかりません。
でも、多分前者だったと思います。
たぶん呪いとか以前に自転車が事故を起こしやすい環境だったんでしょうね。
現にヨシ君のお母さんも自転車で事故に遭ってるわけですし。
そういう意味では環境が整備されてよかったと思います。
なんというか、ヨシ君のお母さんが人柱になってくれたみたいですね。
ご冥福をお祈り致します