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がりさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

お墓に彫られた名字の謎
短編 2021/08/11 21:22 1,213view

私が子供の頃は毎年、お盆になると隣町の祖父の家に行き、数日間泊まっていました。他にも何人かの親戚が来ていて、5歳上のいとこと遊ぶのが楽しみでもあったのです。いとこは少しやんちゃな男の子で、おもちゃの銃で花を全部撃ち落とす遊びをしていたり、木の上から汚い池に高飛び込みしたり、叔父にいつも怒られていましたが私的には、それは見ていて楽しかったのです。

ある年の8月13日の夜、いとこは「お墓に肝試しに行こうよ!」と言い出しました。何でも、13日の金曜かつお盆だから、何か面白いことが起こるかもと思ったらしいのです。
私と妹も面白そうだと思い、21時頃に山の中腹にある先祖のお墓に向けて歩き始めました。

懐中電灯は持っているのですが、非常に辺りは暗く、元気な夏のセミの声や何かの鳥の声なども、いつもとは違って聞こえて不安です。それから数分歩いてようやくお墓のある場所に着くと、いとこが「えー!」という声を上げました。

どうしたのかと聞くと、「名字が○○になってるんだよ!」と言うのです。私はびっくりして懐中電灯を照らしてみると、確かに先祖の名字とは違う見たこともない名字がお墓に彫られていました。
場所を間違えたのかと思いましたが、ここには昼間にも来たので間違うはずないですし、この近くにはお隣さんの先祖のお墓はあるものの名字は明らかに違います。

私たち3人は怖くなって、すぐに家まで下りることにしました。祖父の家まで戻るとみんなテレビを観ながら笑っていたのでとてもホッとしたのを覚えています。夜に肝試しに行ったのは大人たちには内緒なので、この件は結局言えませんでした。

あれから何年も経ち、私は20代になっていました。成人してからお盆に祖父の家には行ってなかったのですが、その年の夏は行くことになったのです。そこで祖父たちが話していた衝撃的なことを私はたまたま聞いてしまいました。

何と「いとこと叔父は血が繋がっていない」と言うのです。さらにビックリしたのがその会話の中に「○○」という名字が聞こえてきたこと。そう、あの時のお墓に書かれていた名字です。

最初は信じられなかったのですが、だんだんとその後、いろいろな話を耳にするうちに「いとこの亡くなった母の、元夫の名字が○○」ということがわかりました。あの時、お墓の名字が違って見えたのは、いとこの血の繋がった父の先祖がいとこに対して、「私たちのところにもお墓参りしてほしい」ということを伝えてきたのではないでしょうか。

少しオカルトが過ぎるかもしれませんが、いろいろなことが合致しすぎているのでそう思わずにはいられません。そんなあるお盆の日のいろいろ考えさせられる子供の頃の出来事でした。

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