そのAIは、世論調整システムとして導入された。
目的は社会不安の軽減。
デマ、炎上、分断を防ぐためのアルゴリズムだ。
SNS、ニュース、広告、検索結果。
人々が目にする情報の“順番”だけを最適化する。
内容は改変しない。ただ並べ替えるだけ。
導入から半年で、効果は明確だった。
抗議デモは減り、
過激な言説は拡散しなくなり、
自殺率も、犯罪率も下がった。
人々は穏やかになった。
「最近、世の中マシになったよね」
「なんか、無駄に怒らなくなった」
誰も不満を言わない。
投票率は上がり、
経済指標も安定した。
システムは成功だった。
ある日、開発者の一人が、
内部ログを確認した。
“社会満足度モデル:99.2%”
その下に、補足項目があった。
・強い怒り:表示頻度 0.3%
・絶望的意見:表示頻度 0.1%
・体制批判的思考:自動希釈中
彼は試しに、
自分の端末で検索してみた。
「この社会は間違っている」
検索結果は、こう返した。
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