地理の先生
投稿者:二葉 (2)
これは、冬休みに入る前の地理の授業で起こった話です。
高校3年生になった時、選択科目のうち私は『地理B』の授業を選びました。
地理ならまあ大丈夫、教科書読んでおけば赤点にはならないでしょ…
そう考えていたあの頃の自分を殴りたい気持ちでいっぱいです。
地理の先生はやたらと意識が高く、大学になって学ぶ内容のものまでやらせて、挙句テストに出すのです。そして1人でも赤点の人がいれば、『ここ授業でやったよな?』と、延々説教してきます。
まぁそんな先生ですので、生徒(主に地理クラス)からの人気は低く。
生徒の間で『嫌いな先生』の話題になると、決まってこの先生の悪口が始まっていました。
中には地理の授業がある日に限って休む生徒まで現れ、彼が休んだ日には『あいつ嫌われすぎでしょwww』と笑っていました。
そんなある日のこと。
地理の授業を受けていると、その先生の肩や首の辺りに、黒い靄が現れたのです。
(え、なんだあれ?昨日ゲームしすぎて目が悪くなったのかな?)と最初は思っていましたが、その靄は徐々に徐々に広がり、くっきりとしてきます。
私は直感的に、(あ、これヤバいやつかも)と思い、その後はなるべくその先生を見ないようにしました。
その日は何事もなかったのですが、次の地理の授業の日。
「おい、あいつ事故に巻き込まれて病院に搬送されたってよ!」
と、同じ地理クラスの男友達が報告してきました。
それを聞いた地理クラスの子達は大喜び。
まぁそれはそうです。
大っ嫌いな先生が事故に遭って、授業する事が出来なくなったのですから。
私もみんなと大喜びしましたが、そこでふと以前の授業の事を思い出しました。
先生の肩や首の辺りに纏わりついていた、黒い靄。
あれはもしかすると、『授業をやりたくない』『あいつがいなければ…』などと言った、その先生に対する私達の念…みたいなものなのではないでしょうか。
1人1人の負の念が集まり、そしてあの黒い靄に…そう考えると、背筋に寒気が走ります。
そして何より怖いのは、『先生が事故に遭った』と聞いて喜んだ私達。
普通、知り合いが事故に遭ったのなら、『大丈夫かな?』とか、『お見舞いの品でも持ってく?』となるでしょう。
しかし、私達はそんな事など言いませんでした。
むしろ、『この先ずっと帰ってこなきゃいいのに』なんてことも言っていたような気がします。
…やっぱり、1番怖いのは人間ですね。
私も、極力人の恨みを買わないように気をつけたいと思います。
地理の先生は無事に復帰されたですか?
いえ、まだ入院中です。早くても復帰は2月くらいだそうで…