友人のバイト先でのこと
投稿者:新田 (3)
これはSという友人から聞いた話です。
Sはとある商店街の飲食店で働いていました。
その日は二つ駅の向こうの店にヘルプで入ることになりました。
夜、冬ということもあり客足は少なく、掃除をしていると。一人のおばあさんが来ました。
いらっしゃいませといつも通り挨拶すると、おばあさんは携帯を見せ、「息子から連絡がこない」と言いました。
ここは携帯ショップではないので…と言うも連絡がこないの一点張り。
道ゆく人は少なく、あとは掃除をするだけだったので、とりあえず話を聞くことにしました。
おばあさんは「旦那とはとうの昔に離婚して、息子は今遠くに住んでいて、一人暮らしの私を心配して朝の7時と夜の18時に連絡をくれるのよ」と息子の写真を見せながら言いました。
時計は18時15分をさしており、まだお仕事が忙しいのかもと伝えると、おばあさんは納得したのか店から出ました。
Sは変なおばあさんだなと掃除に戻りました。
そして19時ごろ、またあのおばあさんが来店しました。そして変わらず言いました。
「息子から連絡がこない」
面倒に思ったSは携帯を借り、息子さんへ電話をしてみることに。
しかし、出ることはありませんでした。
息子さんは忙しいからかけることもできることもでないんでしょうと言うも、でも今日の朝来たのよと言うだけ。
Sはもう一度携帯を借り、着信履歴を見ると、確かに朝に7時に、そして昨日の朝にも夜にもきちんと時間通り連絡している。
Sは今度、おばあさんの携帯から自分の携帯にかけました。
しかし何も反応はありませんでした。
次に、自分の携帯からおばあさんの携帯にかけましたが、これも反応がありませんでした。
不気味に感じ、これ以上どうすることもできませんと頭を下げると、理解したのかおばあさんは帰りました。
それから閉店時間の20時まで一度も来ることはありませんでした。ホッとしたSは店を閉め、駅まで帰ることにしました。
その時、少し遠くにおばあさんがいました。
冬の20時となればもう周りは真っ暗です、大丈夫か?家に帰れるのか?心配に思い、おばあさんの方は走って行き、家まで送ると言いました。
何か言われるか不安でしたが、普通にありがとうございます、じゃあお願いしますと言うだけできた。
心配なのもありましたが、本当はあのおばあさんが何者なのか少し気になったからです。
歩いて5分もかからないぐらいでおばあさんは家につきました。
おばあさんの家は案外普通の家で少し拍子抜けしました。
が、しかし、そう感じたのは一瞬でした。
その家の窓に、人がいたのです。
息子が霊なのかおばあさんが霊なのか