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不思議体験

倶利子さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

不思議な提灯
短編 2022/07/07 01:14 1,009view

これは自分が大学3年生ぐらいの時にあった、怖いというか不思議な話です。当時医学部生だった私は日々充実した毎日を過ごしてました。皆さんは医学部と聞くと、毎日が忙しく、遊ぶ時間や飲みに行く時間などが無いと思うかもしれません。しかし医学部であっても毎日勉強勉強、実習実習で忙しいわけではありません。医学部以外の大学生と一緒で遊ぶ時間もあります。当時3年生であった私も例外ではありません。

大学3年の後期の定期試験も何とか合格したため、4年生に進級する数週間は特に大学の講義や実習も無く、少し暇な時間が出来ました。もちろん私の友達も試験合格していたため、この期間にどこか旅行にでも行こうかということになったのです。

行先はすぐに決まりました。2泊3日の京都の旅です。私を含め人数は3人。現地までは新幹線で行き、その後はレンタカーを借りて色々京都の町を楽しんだのを覚えています。

学生の時の旅行、特に大学生の旅行となると、時間関係なく行けるところに行きたいと思うもの。当時の私達もそうでした。

そんな折、京都にある神社?お寺?忘れてしまいましたが、お参りが出来るような場所に辿り着きました。時間はもう深夜0時を回っている頃でした。当然辺りには私達以外に誰もいません。少し長めの階段を登り、少し広めの広場に着きました。広場の中央には四方がたくさんの提灯で覆われた塔の様なものが佇んでいました。1つの面には提灯が20-30個ほどかかっており、それが四方に立っていました。提灯が固定されているのは上の部分のみです。つまり風が吹けば提灯はゆらゆら揺れる状況です。

私達はそれを見て、大きな提灯の塔だなぁと思い、何気なく見てました。するとその提灯の中に一緒に旅行している友人と同じ名前が書かれているものがありました。私は面白半分にその提灯を指さし、『ほら、あれ、同じじゃね?』などの様なことを話しました。友人は当然、『何言ってんの?関係無いし』などの様なやり取りをし、お参りするために境内を目指しました。境内はこの提灯の塔から数十mのところにありますが、提灯の塔には完全に背中を向けることになります。そして簡易的なお参りを済ませ、振り返って帰ろうとした時です。

私が先ほど指さして話題にした『提灯』だけが、揺れていたのです。もちろんこの一連流れで風は一切拭いていませんでした。もし風が吹いていたとしても、その一つだけが揺れるなんて考えられません。因みにその提灯は、端では無く、『真ん中』に位置しているものでした。なぜそれだけ?さっきまで揺れてなかったよね?友達と話しながら、急激な恐怖に襲われ、『ごめんなさい、すみませんでした』と何度も反復しながら、急いでその場所を後にしました。

本当に不思議な体験でした。

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