森を徘徊するもの
投稿者:菊地 春樹 (1)
これはまだ自分が小学校5年生の時に経験した話だ。
自分が卒業した学校にはとある一つの変なルールがある。
「午後六時以降は学校の裏山に行ってはいけない」というルールがあった。
このルールだが夏休みの時期には特に重視されていた。
そして夏休み前集会になると先生に厳しく言われていた。俺はなぜ大人から厳しく言われるのかが自分にはわからなかった。そしてその意味を知らない自分はそれを破ってしまった。そんな日の夏休み。俺と友達二人は学校の裏山に肝試しに行ったのだ。
俺たち三人は夜の学校に忍び込み、裏山を登った。
「やっぱ夏でも夜は少し寒いねー」
「そうだな」
「…………」
俺たちは懐中電灯で足元を照らしながら歩いていた。
その途中、自分たち以外の足音が聞こえた気がした。
「誰かいる?」
「いないと思うけど……」
俺たちはその音の正体を探るため周りを見渡した。すると木の間から何か動くものが見えた。
「あそこに人がいる!」
俺たちはその人のところに向かった。するとそこにいたのは…。
顔が重度の火傷で皮膚が垂れ下がった人間だった。
その人は全身ボロボロで服も汚れているように見えた。
「ひっ!?︎」
俺たちは驚いて声を上げた。
するとその人がこっちを振り向く。その瞬間にその人と目が合ってしまった。
「おい!逃げるぞ!」
その時自分はその顔を見てビビってしまった。両目がないのだから。
俺以外は逃げてしまい自分は逃げようとするも…。腰が抜けて動けなかった。
「あ…ああ…」
俺のところにその人がゆっくりと近づいてくる。
その時だ。後ろのほうから二人の悲鳴が聞こえた。
振り向いてみるとそこには先ほどまで一緒にいたはずの二人が宙に浮いていた。
「なんで?なんでここに……」
としゃべろうとした自分は絶句した。なんと二人は人につかまれていた。
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